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japanese-nsfw-syosetsu-dataset

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The dataset generation failed because of a cast error

Error code:   DatasetGenerationCastError
Exception:    DatasetGenerationCastError
Message:      An error occurred while generating the dataset

All the data files must have the same columns, but at some point there are 7 new columns ({'_format_kwargs', '_data_files', '_format_type', '_fingerprint', '_split', '_format_columns', '_output_all_columns'}) and 1 missing columns ({'text'}).

This happened while the json dataset builder was generating data using

hf://datasets/Elizezen/japanese-nsfw-syosetsu-dataset/state.json (at revision 481c3d062c78c87eabbd60b05041c524a4089aa0)

Please either edit the data files to have matching columns, or separate them into different configurations (see docs at https://hf.co/docs/hub/datasets-manual-configuration#multiple-configurations)
Traceback:    Traceback (most recent call last):
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/builder.py", line 1870, in _prepare_split_single
                  writer.write_table(table)
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/arrow_writer.py", line 622, in write_table
                  pa_table = table_cast(pa_table, self._schema)
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/table.py", line 2292, in table_cast
                  return cast_table_to_schema(table, schema)
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/table.py", line 2240, in cast_table_to_schema
                  raise CastError(
              datasets.table.CastError: Couldn't cast
              _data_files: list<item: struct<filename: string>>
                child 0, item: struct<filename: string>
                    child 0, filename: string
              _fingerprint: string
              _format_columns: null
              _format_kwargs: struct<>
              _format_type: null
              _output_all_columns: bool
              _split: string
              to
              {'text': Value(dtype='string', id=None)}
              because column names don't match
              
              During handling of the above exception, another exception occurred:
              
              Traceback (most recent call last):
                File "/src/services/worker/src/worker/job_runners/config/parquet_and_info.py", line 1420, in compute_config_parquet_and_info_response
                  parquet_operations = convert_to_parquet(builder)
                File "/src/services/worker/src/worker/job_runners/config/parquet_and_info.py", line 1052, in convert_to_parquet
                  builder.download_and_prepare(
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/builder.py", line 924, in download_and_prepare
                  self._download_and_prepare(
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/builder.py", line 1000, in _download_and_prepare
                  self._prepare_split(split_generator, **prepare_split_kwargs)
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/builder.py", line 1741, in _prepare_split
                  for job_id, done, content in self._prepare_split_single(
                File "/src/services/worker/.venv/lib/python3.9/site-packages/datasets/builder.py", line 1872, in _prepare_split_single
                  raise DatasetGenerationCastError.from_cast_error(
              datasets.exceptions.DatasetGenerationCastError: An error occurred while generating the dataset
              
              All the data files must have the same columns, but at some point there are 7 new columns ({'_format_kwargs', '_data_files', '_format_type', '_fingerprint', '_split', '_format_columns', '_output_all_columns'}) and 1 missing columns ({'text'}).
              
              This happened while the json dataset builder was generating data using
              
              hf://datasets/Elizezen/japanese-nsfw-syosetsu-dataset/state.json (at revision 481c3d062c78c87eabbd60b05041c524a4089aa0)
              
              Please either edit the data files to have matching columns, or separate them into different configurations (see docs at https://hf.co/docs/hub/datasets-manual-configuration#multiple-configurations)

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text string
城のバルコニーから下を見下ろす。僕が生まれた時から、ここは何も変わらない。頬杖をついて、強い風を全身で浴びる。目を閉じると、あの戦いの日々が頭を過ぎった。剣と剣がぶつかり合い、怒号が飛び、汗と血と、高揚と恐怖。なんであんなに戦っていたのだろう？今この国が平和で良かったと心から思う。リーリアが平和な時代に生まれたことを、僕の側にいてくれることを‥‥‥‥ 「シャルゥ」愛しいリーリアの声が、僕を呼ぶ。振り返ると、バルコニーへ出る窓からよちよち歩いてくる。可愛い。なんて可愛いんだろうか？強い風に吹き飛ばされないように、リーリアを抱き上げた。小さく柔らかな身体が、ひしと僕にしがみつく。あぁ、可愛い。ペロリとリーリアを舐める。「シャルゥ、めっ！」どこで覚えたのか分からない言葉で怒られる。リーリア、それ逆効果だよ？可愛すぎ。ちゅちゅちゅ、とリーリアの唇めがけて吸った。「キャハッ」「リーリア、僕のこと、好き？シャル、好き？」「ぼく、すき、シャルゥ、すき！」「はぁ、僕もだよ！リーリア、愛してる」「あいしてる？」「リーリア、僕を愛して？」リーリアの唇を吸って、舌でペロペロ舐めた。「ん、むぅ」息苦しいのか顔が赤くなって、尻尾が大きく動くとシャルの胸を叩いた。「ごふっ」思わず声が漏れて、口の中に錆びた鉄の味が広がる。「ふ、ぅ‥‥‥リ、リーリア、尻尾はダメだよ？」リーリアをぎゅうと抱きしめる。肋骨が痛い。きっとひびが入っている。でもリーリアの無邪気な顔を見ると、僕は微笑んだ。「ひっ」口の端から赤い血がたらりと垂れて、見ていたカーナが悲鳴を上げた。 ― その日、汗だくで遊んでいたリーリアを早めにお風呂に入れた。「リーリア、お風呂に入ろうね」手早く服を脱いで、リーリアの服も脱がした。明るい窓からの光で、リーリアのきめの細かい肌が白く発光している。服を脱いだことで、汗をかいていたリーリアの甘い体臭がふわりと広がった。「すぅー‥‥‥はぁ」大きく息を吸い込むと、身体中がリーリアの香りに染まっていく気がする。酔いしれたように頬を紅潮させて、うっとりとリーリアを抱きしめた。はぁ、もうダメだ。「リーリア、愛してる」すでに立ち上がったものが、リーリアに擦りつけたいとピクピクと動いている。「リーリア汗いっぱい出てるから、綺麗にしようね？」柔らかな布の上で、リーリアを寝かせると唇を舐めた。「シャルゥ？」
キョトンとした初心な眼で、シャルを見上げている仔羊。それなら僕は黒い狼だろうか？ペロペロと頬を、ベロリと首元を、舌先で小さな蕾を舐めて吸った。「キャ、キャ！」笑うリーリアに微笑んで、ぷにぷにとしたお腹を吸って舐める。「愛してる。愛してるよ。リーリア」舌を這わす合間に、溢れる気持ちが言葉に変わる。臍から脚の間へと舌を平にして舐めていく。ふぅふぅと鼻息が荒くなって、余計にリーリアの香りに呑まれていく。「リーリア‥‥‥‥」少し脚を広げて、ぴったりと閉じられた割れ目。陰裂を下から上へ舐め上げた。舌先を少しもぐり込ませると、リーリアの濃い味が絡みつく。狼の腰がヒクヒクと蠢き、透明な液が床下へと糸を引きながら垂れた。挿れたい。まだダメ？いつならいい？ぴちゃぴちゃと、それこそ犬の様にリーリアを味わう。リーリアの襞の柔らかさが、そこを触らずとも発射を促す。「‥‥‥は、ぁ、リー、リーリア」「シャルゥ？」顔を上げると、リーリアの純真な瞳が僕を見つめている。「‥‥あっ、ぁあっ！」リーリアの目の前で‥‥‥‥イク！限界を迎えようとしていた肉茎が震えて、勢いよく射精をした。白濁した精液が、リーリアの股に降りかかる。何度も、何度もビクつく肉茎はリーリアを穢していく。真っ白な仔羊を。「はぁっ、はぁっ、は、ぁ」僕の精液で汚れたリーリアを見て、恍惚となる。僕が汚した。僕の愛しいリーリア。硬度を保ったままの肉茎が、まだだとリーリアに反応している。「‥‥‥リーリア、お湯に浸かろうか」ちゅちゅと、リーリアの唇や頬にキスをして。肉茎を立てたまま汚れたリーリアを抱きしめ、やっと浴室に入った。座ったリーリアの身体をたっぷりの泡で撫でまわし、お湯で流す。リーリアは不思議そうに、立ち上がりたまにヒクつく肉茎を見ていた。リーリアを抱えたまま浴槽に浸かると、リーリアの平らな胸が、ぴたりと僕の胸にくっつくようにもたれかかってくる。「どうしたの？リーリア」「ぅん？」湯で温もった身体が桃色に染まり、首を傾げて僕を見上げる潤んだ瞳に勘違いしそうになる。え、いいの？そっとリーリアの割れ目に指を這わせた。息を呑む。微かにお湯とは違う滑りが指先を滑らせた。けれどその先。小さな穴は指すら入らない。僕のものは、さらに入らないだろう‥‥‥‥入らないかな？いや、ダメだ。リーリアに痛いことはしたくない。唇を噛んで、いまだ立ち上がる肉茎に無理矢理自制をかける。「愛してるよ、リーリア」僕は待つから。リーリアの身体が大人になるまで。でも、ここは僕しか挿れないで？僕だけ見てて？くたりと力が抜けているリーリアに、優しくキスをした。ある日、久しぶりに仙竜じじいに会った。初めて会った数千年前に、すでに年老いていたというのにまだ生きていたのかと思った。「まだ生きてたんだ？」「失礼じゃのう」長い髭を触りながら、仙竜じじいは笑った。「何か、面白い話ある？」
「面白い話？」「リーリアに話して聞かせるんだ。ない？」「あぁ、生まれたんじゃな‥‥‥‥」高い空を見上げるじじい。「で、紹介はしてくれんのか？」「え〜〜」「お主の番に、何もしやせんよ」長く白い眉毛の間から覗く目は笑っている。しょうがない。じじいには恩がある。「ほぅ！なんと美しい子じゃな。珍しい瞳の色をしておる」リーリアをひと目見て、じじいは感嘆の声を漏らした。そうだろう。リーリアの比類ない美しさは万物共通のものだ。「リーリア、おいで」とてとてと歩いてきたリーリアを抱き上げる。「リーリア。じじいだよ」「‥‥‥お主、前から思うとったが、かなり失礼なこと言うよな」「じぃじ？」リーリアの辿々しい発音に、白髪の眉毛がさらに垂れ下がる。「おほっほっほっ、可愛いのう」手を伸ばそうとしてきたので、パシリとはたき落とした。「‥‥‥‥痛い」「汚い手で触るな。穢れる」「年寄はもっと敬うべきだと思うんじゃが？」「昨夜城下で、派手な女遊びをしている白髪のじじいがいたと聞いたんだが？そんな穢れた元気がある、年寄りなどいないだろ」「お前のような奴に、こんな娘は勿体ないわ！」「うるさい。クソじじい！」「クソ、じぃじ？」リーリアが首を傾げた。可愛い。「‥‥‥‥‥‥‥‥コホン。ところで、お主。またやりおったな」「？」「お主の力が、満ち満ちておるんじゃが‥‥‥‥何をした？」「‥‥‥‥‥オシッコ飲んだり、口移しで食べ物とか飲ませたり‥‥‥‥とか？」「いくら番であろうと、幼子にえげつない事するな〜、流石のワシでも引くわい」目を細めて、軽蔑したようにシャルを見てくる。「まあ、完全な大人になっていないうちから体液などを飲まされれば、強い力の影響がいくらか出るじゃろうな」「そういや最近、リーリアの尻尾の力が強くて‥‥‥」「お主の力がそこへ溜まっておるのじゃな」「それは、どうしたらいい？」「まあ、いつか抜けていくじゃろ」「曖昧だな」「‥‥‥‥あのな、お主のような規格外の力が、このように小さな幼子に与える影響がどのようになるのか、前例もないんじゃよ。このロリコンが！」「‥‥‥‥そうか」「まあ卵の時と違って、この子が力の発散をできているようだから生死に関係するようなことは起こらんじゃろ」シャルが溜息をつくと、リーリアが顔を覗き込んできた。あぁ、可愛い。「シャゥ？」舌足らずなリーリアの小さな唇を、ペロリと舐めた。「‥‥‥‥‥反省しない男じゃのう」 ― 月も出ていない夜。
スウスウと、規則正しい寝息をたてながらリーリアが眠っている。眠れない。ごそりと起き上がり、リーリアを見る。肩まである髪の毛がリーリアの顔を覆って、顔が見えない。指先で柔らかな髪の毛を、そっとかき上げる。薄暗い室内で目を光らせる。つんと鼻筋の通った鼻。伏せた長い睫毛。滑らかな白い肌に、少し開いた赤い唇。今は閉じられた瞳の色。きっと、そのどれもが人を魅力するだろう。誰にも見せたくないし。どこにも連れて行かない。僕だけ、僕とリーリアだけ、２人いればいい。リーリアの額に口付けをする。ふわりと、濃く漂うリーリアの香り。これは僕の香り。リーリアの身体は、どこをとっても柔かい。柔らかくて、温かくて、甘い香りがする。立ち上がった肉茎を取り出した。リーリアの服の釦をゆっくり外し、肌を曝出す。平らな胸に薄い肌色の乳首。これが大きくなって、僕を誘うんだ。舌先で突くように舐め回す。ぺちゃぺちゃと、リーリア身体を舐める水音が室内に響く。愛してる。リーリア。何度も心の中で繰り返す。ぷっくりとした唇に口付けて、舌で舐め上げた。鼻息荒く身体を舐めながら、秘められた場所を目指ざす。脚を開かせて、割れ目に少し舌先を食い込ませリーリアの味を心ゆくまで愉しむ。ビクビクと別の生き物かのように動く肉茎が、リーリアを犯したいと粘ついた液を垂らし、早くも白い精液が我慢できずに溢れ出てきた。「あっ、ダメ、だ‥‥‥リーリアっ！はぅっ！」頭の中で、淫らなリーリアが僕を誘う。早く、早く大きくなって！何度も射精を繰り返し、シーツを汚した。朝の光が、今日も眩しい。黒い僕の瞳が、リーリアを覗き込む。早く、僕に全てをちょうだい？「おはよう、リーリア」それは小さな、ほんとに小さな湧き湯だった。コップ一杯くらいの、湯だった。「‥‥‥‥‥‥‥」これじゃ、入ることなどできない。足すら浸かれないだろう。んー‥‥‥‥どうしよ？とりあえず腰にぶら下げた水筒に入るだけ汲んだ。からからになった岩場を、遠くから火喰い鳥が見ているが知ったことではない。帰るかと、シャルは首に下げた黒い石を目の前に持ってきて覗き込んだ。リーリアが映る。廊下を歩いている。その後から、困ったように近衛兵とカーナが歩いている。「あれ？部屋で遊ぶって、言ったのにな〜、悪い子だ」くすりと笑ってリーリアを見ていると、視界の端の端、ずっと向こうの通りすぎた開廊の扉が少しだけ開いている。うん？なんだ？意識を集中して、その扉を拡大する。男だ！リーリアを見ようとして、扉の中から様子を覗っている。身体中の血が、一気に冷やされたみたいに手先まで冷たくなった。次の瞬間には、身体が動いた。走る。ただ走る。リーリア！リーリア！リーリア！！何度も名前を呼ぶ。黒い角が僅かに伸び、黒目がさらに黒くなる。怒りで髪の毛が立ち上がった。耳元では風の切る音しか聞こえない。手に握られた水筒が、ミシリと潰される。誰だ男を入れたのは？バーバラか？ヴァントか？カーナか？ミリか？思いつく限りの顔を思い浮かべる。次には、リーリアの無邪気な笑顔を思い出す。誰にも触れられないように、あれだけ気を配っていたのにも関わらず！だ
シャルは奥歯を噛みしめ笑顔で走った。怒れる時こそ、顔が笑う。男は繁みに身を隠しリーリアに向かって、今まさにそこから駆け出そうとしている所だった。「どこへ行くのかな？」間に合った‥‥‥‥‥ シャルは微笑みながら男を見た。 ― 「あ〜、飲んだんか」仙竜じじいはそう言って、酒を呑む。「そもそも、浸かるだけの湯などなかった」「ん〜、そうか。それじゃ効果も薄かったんじゃな」「‥‥‥‥‥‥」「まあ、こうなったなら、やはり待つしかないじゃろう。大人になるまで、耐えろ」「‥‥‥‥‥‥」「睨むな。お主が睨むと洒落にならん。マジで死んでしまうわ」シッシッと手を振り態度に示す。「待つことなどできない」リーリアが可愛い。可愛くて、可愛くて、食べてしまいたい。「今すぐにでも‥‥‥」じじいの赤ら顔が、無言で見てくる。「難儀じゃの」そんな一言で片付けられたくはないが、その通りだ。「リーリアが、早く大人になる方法があれば‥‥な‥‥」窓を見下ろす女街は、そろそろ仕事へと動き出しているのかざわざわと騒がしくなってくる。ふと、向かいの宿屋の二階で、遊女が着替えている姿が目に入った。日に当たらない白い肌、丸い大きな２つの膨らみ、細い腰に大きなお尻。どれも男を誘うために、本来であれば子を成す為にある。リーリアの身体も背が伸び胸が膨らみ、細い腰に柔らかい臀部。スラリとした脚で、我知らず男を誘うようになるのだろう。白い首を噛み赤く熟れた蕾に吸い付いて、潤ったそこへ滾ったものをぶち込み、動かして出して啼かせたい。そう渇望しているのが、自分だけだという現実が歯痒い。「‥‥‥‥‥‥」リーリアの事を考えていると、見た目にもハッキリ分かるほどズボンの中で肉茎が立ち上がった。「難儀じゃのう」じじいの憐れんだ目が、今日は優しく感じた。 ― 呼んだアボット・ルブランに、リーリアの成長した姿を描けるか聞いてみた。自分が描いてもいいのだが、アボットの絵には人を惹きつける魅力がある。あの絵も、表には出ない事が勿体ないくらいの出来だった。リーリアが大人になった姿は容易く想像できる。何故なら僕の想像通りに成長しているから。だが第三者の目線で、リーリアを見てみたいと思った。アボットは、１日リーリアの側付きとして見てみたいと言った。成長とはその全ての骨格が大きくなる事で、顔など一部分を見ただけでは正確なことは分からないと言った。確かにそうかもしれない。毎日、毎秒側にいるからこそ僕はリーリアの全てが分かるのだ。「いいだろう」バーバラにアボットのことを話し、翌日リーリア付きの侍女となった。朝の飲尿を終え、しばらくしたら侍女が起こしに入ってくる。リーリアの服を僕が選び、髪の毛を僕が梳かす。リーリアのその日の気分で可愛く結ぶ。日によっては早朝からお風呂にも入るが、その日リーリアはあまり汚れなかったので入らなかった。その後朝食。リーリアの為に小さく切った肉や野菜、果物などを食べさせる。口の周りは僕が舐めて清める。僕はその後、執務室へと雑務を片付けに離れる。水晶球でリーリアの様子を監視。人懐っこいリーリアは、アボットにも懐いたようだ。
アボットが人形になり、リーリアはスカートをまくり上げパンツを下ろし、お世話しようとしている。アボットが悲鳴を上げているようだ。カーナが止めに入った。次にリーリアは、絵本を読み始めた。最近字を覚え始めたリーリアは、ずっと読んでいる。その本が面白いのか、ずっと読んでいる。そろそろ昼だ。僕は昼食をとりにリーリアの元へと急いだ。リーリアを抱きしめてキスを降らせる。朝のようにリーリアに、餌付けをする。口の周りを清めるという口吻を、何度も満足するまで繰り返した。今日はヴァントが戻ってこいと言っていたので、再び執務室へと戻った。水晶球での監視。城の中を走り回るリーリアに、アボットが振り回されている。その後中庭に出て、花摘みをしている。そろそろ癒やしの午後のティータイムだ。僕は終わった雑務の処理をヴァントへ押しつけ、リーリアのもとへ戻る。リーリアを膝の上に乗せて、口移しで甘いお菓子や、ティーを食べさせた。リーリアを抱き上げ、一時も離さず昼寝をした。起きて寝汗をかいていたリーリアを抱いて部屋に戻り、リーリアの身体を拭いて、服を着させる。汚れている時は風呂に入るが、今日はそうでもなかった。その後、早めの夕食。リーリアのしたいようにフォークやナイフを持って食事。リーリアが一人で食べる時は、よく口の周りが汚れる。僕の口も舌も忙しなく動き、リーリアを食べる。その後寝室へ移動して、リーリアの歯を磨いて、身体の異常がないか観察し着替えて就寝。こんな感じで１日が終わる。アボットは、どんな絵を書くだろう？楽しみだ。リーリアの姿を描いた絵を、女流絵師に描かせた。僕が描いた絵は、リーリアの美しさを存分に引きだしているはずだ。５人の絵師に、同時に絵を描かせた。出来上がった物を見て、１人の絵師を呼び寄せる。「お前は、口が堅いか?」「はい。仕事柄口には出せないような物も、頼まれれば描かせてもらっております」跪いたまま顔を下げているが、見目好い姿をしている。絵師でなければどこかの令嬢と言われてもおかしくないくらいだろう。ただ衣類等に興味もないのか、髪は雑に一括りにされ、服もズボンという動きやすさだけを重視した格好をしていた。「私は絵を描かせてくれるなら、それで満足なのです。その他の事には興味はございません」なるほど、と頷いたシャル。描かれた絵は、まだ見ぬリーリアの美しさを体現するような物だった。アボット・ルブランと名乗った絵師の、底知れぬ才能を感じた。アボットに、リーリアを会わせた。小さく息を呑んだアボットは動かなくなり、じっとリーリアを見つめた。シャルのただならない気配に、慌てて「アボット・ルブラン、と申します」リーリアに跪いて、頭を下げた。手が震えていた。「どうだ？リーリアは美しいだろう？」抱き上げたリーリアに、頬ずりをする。「はい。竜妃様を描くことができるのなら、私はもう他に何もいりません」熱のこもった眼差しで、顔を上げた。「では、描いてもらうか」シャルは意味ありげに笑った。 ― それは美しい上に卑猥で淫靡。現実ではないような、夢の中にいるようなそれが、眼前で広がっていた。
筆を持つ手が震えるなど、今までなかった。ゴクリと唾を飲み込み自分を落ち着かせる。まさか、このような光景を見られるとは思ってもいなかった。城の肖像画と言えば、聞こえもいいし金もいい。ついでに名も売れる。しがない絵描きにはもってこいの仕事だ。しかしアボットは、描きたいと思うものしか描かない。描けないのだ。どうでもいい絵なら描ける。生きるためしょうがないと割り切って。それが適当に描いた絵だとしても、素晴らしいと考える人はいるのだ。今回は、今まで秘匿され表に出てこない竜妃を描けると思い興味があった。いい仕事だと思ったし、金もいい。その金で絵を描きながら旅にでも行こうかと思っていた。気楽に考えていた。「これは、一度しか出来ない事だ。よく見て、目に焼き付けろ」朝も早くから起こされ、何を描かされるのかと寝惚けた頭が一瞬にして目覚めた。あの国一番の猛者であり、見目も美しいと謳われるシャル。過去の戦歴、国を守った英雄。いくつもの絵が高値で取引され、謎の多い、国を守護する黒い竜。それが今、ベッドの上で裸の竜妃を持ち上げその股間に顔を埋めている。赤い舌先が竜妃の幼く未発達なそこを、突いて舐めている。小柄だが程よく引き締まった筋肉がついた腕、胸、横腹、臀部、逞しい下肢‥‥‥‥逞しく、天を向き‥‥‥滴る液を‥‥垂らし‥‥‥‥‥‥ 何を見せられているんだろうか？一瞬気が遠くなる。あまりの卑猥さに、卒倒しそうになる。奥歯を噛み締めて、目を見開いた。シャルから受ける刺激で、ふるふると震える竜妃。紅くなった顔が何とも言えない艶麗さを漂わせている。そのうちシャルの喉が、上下に嚥下し始めた。ゴクリ、ゴクリと喉を鳴らして、見えないが竜妃の出す小水を飲んでいるようだった。それとともに下肢から覗く男根がビクビクと震えて、白いミルクのような液体を迸らせた。これは言われなくても、目に焼き付く。むしろ忘れられない。まだ花も開かない絶世の美少女が、美しい少年のようなシャルに小水を啜られ、その少年は男根を震わせ射精する。気がつけば、夢中になって絵を描いていた。目の前にはもうシャルも竜妃もいなかったが、何かに憑かれたように何時間も描き続けていた。どれくらいの時間そうしていたのか、それとも何日？何も口にせず、排泄も忘れ、絵だけをただ描いていた。 ― 「いいね」シャルの一言。そうだろう。あんなに集中して絵を描くなど初めての経験だ。渾身の力作だ。精も根も尽き果て、もう何もしたくない。「これが報酬だ」机に置かれた重そうな革袋。予想を超える量であるのは想像に付く。けれど、心が惹かれない。名声もいらない。こんな物はいらない、心が沈む。顔が上げられない。酷い顔をしていることだろう。アボットのそんな様子に分かっていたかのように、低くシャルが笑った。「次は、何を描いてもらおうかな‥‥‥」月夜の光の中で、眠るリーリアの顔に影がかかる。少し開いた口に、丸く張り詰め朝露のような雫を滴らせた僕の大事な恥部を、そっと押し付けた。まだ歯の生えない柔らかな小さな口は、寝ていながらも反射的にそれをチュウチュウと吸った。「はっ‥‥‥ぁっ‥‥ダメ、だ‥‥リーリア！」それだけでビクビクと波打つように腰が震えて、込み上げてくる。「ダ、メ‥‥‥ぁ‥‥‥！」出る瞬間にリーリアの口から離すと、それは流線形を描いてリーリアを飛び越え、シーツの上へパタパタと落ちた。ぶるんと何度もヒクつくながら、止まらない射精感に恍惚となる。「はっ、はぁ、ぁっ、ぁ」出なくなった肉茎は、それでも硬さを保ったまま上を向く。上がった息を整える。軽い悪戯心だったが、こんなにも気持ちが良いとは恐ろしい。
僕をこんなふうにしてしまうなんて、なんて罪な天使なんだろうか？リーリアに覆いかぶさり唇を舐めて舌を入れると、それもチュウチュウと吸ってくる。小さな口。可愛くて、愛しさが溢れてくる。愛してる、愛してると言葉が溢れて、どうにかなりそうなほどの法悦。もうリーリアなしでは生きてはいけない。吸われる舌に素直に反応する肉茎は、粘液を垂らして、何度も白濁を撒き散らした。 ― リーリアの歯が、生えてきた。歯がむず痒いのか、シャルの手や腕をよく噛んでくる。小さな尖った歯で噛まれると、ジンと身体の中が熱くなった。リーリアのしてくる事は全てが愛おしい。ある夜、習慣になってきていた行為中。柔らかな肉茎の丸みへ、リーリアは無意識に噛みついた。息が止まるほどの痛みと衝撃で射精が止まらなかったが、その後の痛みが辛くて、もう二度と出来なくなった。泣いた。咽び泣いた。「シャ、シャル様！？」ある日リーリアに噛まれて、身体中血だらけでシャツに血の染みを作っていたのを、ミリに見られて大騒ぎになった。リーリアからの愛情だと思うと、それも愛しく思っていたのだが、リーリアの教育上、噛み癖がつくのは良くないと噛み縫いぐるみをリーリアに渡してきた。縫いぐるみを噛むリーリアも可愛かったが、僕の身体を使って欲しい。噛むことに夢中になっているリーリアに手を差し出すと、ついでに噛んでくれることに気づいた。リーリアに噛まれると、身体が痺れたように震えた。パンツの中で、ビクビクと硬く立ち上がる。その感覚が止められなくって、また身体中血だらけになった。ミリの冷たい視線を、背中に感じた。 ― 朝になり、いつものようにリーリアにキスをする。「おはよう、リーリア。オシッコしよう？」鼻歌交じりにリーリアの服を脱がし、芳しい股間を舐めて突いた。ゴクゴクと喉を鳴らして、いつものようにリーリアの全てを飲み尽くす。ペロペロと清めると、リーリアがいつものようにパシンっと尻尾で叩いた。「ぐわっ！」強い衝撃で身体が吹っ飛ぶ。壁に強かに身体を打ち付けた。「どうされました！―――――シャル様！？」凄い音がしたせいで、近衛兵が扉を開けた。壁に投げつけられたけど、丈夫な身体の僕には大したことはない。問題はそこじゃない。「リ、リーリア？」ベッドに座る、キョトンとした顔のリーリア。可愛い！非力だと思っていたリーリアに、僕を吹っ飛ばすほどの力があるなんて！呆然と、叩かれた頬を撫でた。その日から、リーリアの尻尾は凶器と化した。その日、小さな命が誕生した。白銀色に輝く小さな鱗が、背骨からお尻の先、尻尾まで。モーブ色の髪の毛に、真っ白で真珠のような小さな角が、２つ。ふさふさとした睫毛が彩る閉じられた瞼は何色なのだろうか？どんな声をしているのだろう？どうなふうにして笑って、怒って、鳴くのだろうか？ ‥‥‥ 貴方は、僕を、どう見てくれるのだろうか？ ―
生まれたリーリアに、国中が沸いた。祝福の鐘が鳴り響き、お祭り騒ぎだった。そんな中、生まれたばかりの裸のリーリアを隠すように抱きしめて、僕は周りを威嚇していた。「シャル様、リーリア様をお離しになって下さい」困ったように乳母代わりの侍女が言っている。「リーリア様に、服を着せましょう？」お針子のミリが言う。「もう３日もそのままでは、リーリア様が弱ってしまいますよ？」カーナが手を祈るように組んで言った。「男性は近づけさせませんから、リーリア様をお渡し下さい」バーバラが、両手を突き出してくる。僕の態度で、恐らく皆分かったのだろう。リーリアが番であると言うことが。皆、腫れ物にでも触るように強制はしてこない。竜族の子供だからか、３日飲まず食わずでもリーリアに変化はない。すやすやと眠っている。だが、確かに、このままではリーリアの身体が心配だ。バーバラに、そっとリーリアを前へ‥‥‥‥ 「‥‥‥‥あの‥‥‥シャル様？」イライラしたバーバラの声がする。手が、手が離れない。この柔らかく小さな身体から、手が！「もう、いいです！分かりました。では、そのまま浴室へどうぞ。リーリア様を入浴させてください！」カーナは浴室に、シャルとリーリアを押し込む。「ここに、リーリア様の服を置いておきますから！しっかり拭いて、出てきて下さいね！長湯はダメですよ！」リーリアを抱かえたまま、さっさと服を脱ぐと温かなお湯へと浸かる。リーリアの為の、温めの温度が気持ちいい。生まれてまだ、眠ったままのリーリアの瞼がピクリと動いた。動いたけど、まだ開かない。すやすやと気持ちよさそうに眠っている。「リーリア、愛しているよ」ちゅ、と、ちゅちゅちゅと顔中にキスをする。ゆっくりとお湯をリーリアにかけては、撫で、かけては撫でを繰り返していると、リーリアの様子が何かおかしい。「リーリア！？」リーリアを湯から持ち上げると、黄金色の雫が、パタパタと脚の間から滴っていた。慌ててリーリアの股に口を押し当てて、全て飲み込んだ。何も出なくなっても、つるりとした閉じられた筋を執拗に舐めた。リーリアのその香りと味に、身体が熱くなる。滾った肉茎が何もしていないのに波打ち、お湯の中で白濁を吐き出した。何度も。何度も。「はぁ、はぁ‥‥‥あぁ、リーリア」再びリーリアを抱えて、冷めた身体を温めた。リーリアの身体が熱い。長湯はダメだと言われたことを思い出し、浴槽を出た。柔らかな布の上にリーリアを寝かせると、拭くのも忘れてしばしリーリアに魅入った。「美しい‥‥‥‥」ホクロの１つもない白い肌が、お湯で温まりほんのり桃色に染まっている。少し開いた桃色の唇。首の下、淡い色の２つの小さな小さな蕾。股の間から見える白い尻尾の鱗が、頭にある白い角と同じく、艶々と輝いている。全てが、美しい‥‥‥‥ この、まだ誰にも知られていない身体は、僕のものだ。酷く苦しい。離したくない。誰の目にも触れさせたくない。愛しい。愛しい。愛しい。僕だけを見て。震える手で、そっと頬を撫でた。「愛している。リーリア」甘ったるい。聞いたこともない自分の声。
頬を撫でられて、またリーリアの瞼が動いた。 ― 長湯を怒られて、眠ったままのリーリアと共にベッドへと舞い戻る。「リーリア様が起きられたら、食事の用意を致しますから」カーナはそう言うと、寝室の扉を閉めた。リーリアを抱えたままベッドに潜り込むと、急に眠気が襲ってくる。生まれた事を知らせたあと、リーリアの姿を一目見たいと男どもが騒ぎ出すから‥‥‥‥ ３日、飲まず食わず寝ずにリーリアを隠し、抱きしめていた。リーリアの身体から漂う甘い香りで、心が安らぐ。リーリアの息遣いを感じながら、ゆっくりと瞼を閉じた。なにか気配がする。そう感じた瞬間に、目を開けた。「‥‥‥‥‥‥‥‥‥！」すぐ目の前に、瞳を開いてこっちを見るリーリアがいた。窓から差し込む光に、キラキラと瞳が輝いている。様々な色が混じっている。例えるなら、虹だろうか？こんな色は初めて見た。これが、僕のリーリア。僕だけの、リーリア。嬉しい。愛しい。守りたい。舐めたい、ああ、舐めたい‥‥‥ 気持ちが溢れ、自然と顔がほころんだ。「おはよう。リーリア」花が咲くようにリーリアが笑ったのを見て「っ‥ぁ‥‥」パンツの中で盛大に白濁が弾けた。選ぶのは貴方だけど、多分僕は貴方の番だ。貴方に教えたい。この燃えるように滾る気持ちを。吸って、舐って、擦りつけて、全てを喰らい尽くしたい。今はまだ？今はダメ？いつならいい？返事なんて聞きたくない。愛したい愛されたい、ただ唯一とお互いに混じり合いたい‥‥‥‥ お互いを求め合わないと番にはなれない。それが、この世界での常識だ。 ― 待っていた。そう、待っていた。この瞬間を。竜妃の卵を見た瞬間に、分かった。これが、僕の番だと。身震いした。声が震える。伸ばした震える手が、ほんのり温かい卵の殻を撫でる。愛しい。愛しい。愛しい。今まで感じたことのない気持ちが溢れてくる。ほわんと、僕の気持ちに呼応するように柔かい光を放つ。僕、のだ。これは僕の。 ― 産まれて数十年。この卵を見てから、僕の身体は成長を止めた。今が全盛期？いや、違う気がする。そんな事はどうでもいい。あれから何年経った？普通の卵なら、２、３年あれば生まれるはずだが？全く殻が割れる様子もない卵。でも、中で死んでいる様子もない。ずっと眠っているようだ。国王と竜妃が、生まれない卵にずっとやきもきしている。僕も、ずっと待っている。
どうして出てこないんだろうか？何か問題でもあるのかな？今日もまたスリスリと撫でさすり、頬を卵に押し付ける。硬い卵は柔らかく光った。ペロリと卵を舐める。「あぁ、生まれたら、こうして毎日愛でて、舐めて、僕の味を覚えさせてあげるからね」震えるように、卵が光る。「可愛い‥‥‥‥」僕はパンツの中で硬くなったものを取り出し、卵に押し付けた。卵が鈍く光る。「くっ、あぁ‥‥‥」押し付けただけで、いきそうになる。ビクビクと波打ち、小さな穴から透明な汁が溢れ出す。その汁で肉茎を手で持ち、擦り上げた。「は、ぁ、ぁ‥‥‥」すぐに耐えきれずに、卵に向かって精液が発射された。どういう仕組みなのか、卵にかかった白い精液が吸い込まれるように吸収されていく。「今日も飲んでくれたんだね。あぁ、愛しているよ。」事後の気だるい身体を卵に巻きつけて、うっとりと呟いた。あの日つい耐えきれなくて、卵の前で自慰をしてしまった。その際、高く飛んだ精液が卵にかかった。すぐに拭こうと思ったのだが、卵が光り精液を吸収したのだ。あの日から、ずっと。、毎日卵に精液を与えている。「早く生まれておいで。僕の子を孕んでよ」ぽつりと呟く。竜の本能がそうさせるのか、卵を見ると身体が熱くなり、肉茎が硬くなってくる。「ほら、また‥‥‥」シャルは肉茎に手を伸ばすと、微笑んだ。「リーリア」日向の中でポツンと座る小さな身体を、背後から抱き寄せた。「シャル？」「どうしたの？今日は部屋で遊ぶって言ったじゃない？」「また、ひくいとり、くるかもよ？」お日様の匂いが、リーリアの身体から立ち上っている。「悪い子だね。リーリア」リーリアの髪の毛をかき分け、うなじに舌を這わせる。「すくぐったい！ふふっ」無邪気に笑うリーリアが、振り返る。キラキラと輝くリーリアの瞳に僕が映る。僕だけが映る。「今日はもう来ないと思うよ？明日、また来よう？」「そうかなー、んー」空を見上げる。他の鳥すら飛んでいない。「じゃあ、またあしたね？」リーリアを抱き上げると、首に腕を回してくる。体温の高い柔らかな身体が密着して、心地がいい。「リーリア、眠いの？」「ん、ねむいの」リーリアの頭が肩に乗る。背中を優しく撫でると、すぅすぅと寝息を立てはじめた。リーリアを抱いたまま、寝室へ向かった。ベッドへ寝かせたリーリアの服を脱がす。汗をかいていた身体から、甘ったるい濃い匂いが立ち込める。自分の服も素早く脱ぎ捨てた。
「はぁ、リーリアの匂いだ」ペロリと唇を舐め、首筋、胸、腹に吸い付いて舐めた。いつものように肉茎が立ち上がって、ヒクヒクと揺らめく。リーリアの脚を持ち上げて広げる。肌色の閉じた筋に、ゴクリと喉が鳴った。はぁ、可愛いリーリア。僕に、全てを見せて？昼間の明るい室内の中で、リーリアの白い肌色に僕の物を擦りつけたい。こんなに幼い身体なのに男を誑かすなんて、悪い子だね先程捕まえた兵士の下半身が、リーリアを見ながら膨らんでいた。こんな姿態、僕以外が見れるわけがないのにね指で筋を左右に開くと、鮮やかなピンク色の内部。小さな穴と、上には小さな粒。ここは僕のために大きくなるんだよ。舌先で、小さな粒を突いて転がす。僕の口から唾液が溢れてクチクチと粘液の音がする。それをリーリアの香りとともに啜った。肉茎から滴る粘液が、いつものように糸を引き、挿れたい出したいと訴えてくる。リーリアから離れて、ベッド脇に置いていた瓶を手に取った。蓋をあけると硫黄のような匂いがする。それを一気に飲み干した。はぁ‥‥‥‥不味い顔をしかめて、瓶を置く。血管が浮き出る肉茎を見ながら、リーリアに再び覆いかぶさった。口直しとばかりに、リーリアの口を塞ぎ、舌を深く差し込む。甘い口の中を味わい舐った。甘い‥‥‥なんて甘いんだろう腕を上げて、つるりとした脇を舐める。横腹を舐めて臍を舐る。弱く吸い付いては、そこを舐めた。肉茎はビクビクと律動している。リーリアの脚を持って、舌先で割れ目の中に少しだけ挿れた。上下に動かしていくと、ぬるぬるとした膣液が舌にまとわりついて滑りがよくなる。リーリアの粘液を舐めとって、小さく主張する粒を舐め回した。「‥‥‥ふ、ぅ‥‥ぁ‥‥‥」リーリアの細い息遣いが、早くなってくる。身体が僅かに反応して、小さく腰が動いてきた。リーリア、リーリア、愛してる。愛してる。イッて？舌で小刻みに粒を刺激していく。リーリアの口が、はくはくと小さく動いている。ぢゅ、と粒を強く吸った。リーリアのお腹と腰が強張り、くたりと弛緩した。イッた、リーリア、あぁ‥‥‥ 硬く張り詰めた肉茎も限界に達する。無意識にゆるく前へ突き出すような動きをしていたのを、リーリアに挿れているかのように小刻みに動かした。「あっ、出るっっ」力のなくなったリーリアの身体に、白濁した精液が勢いよく飛び散った。我慢をしていたせいか、何度も腰を突き出しては白濁が溢れてくる。あ、ぁ‥‥‥‥気持ちいいリーリアの汗ばみ、ほんのり赤く染まった肌からなんともいえないいい香りが漂っている。どこにも触れない射精など、リーリアが卵から生まれるまではしたことがなかった。いや、出来なかっただろう。今はリーリアの姿態を見るだけで射精ができる。この香りを嗅ぐと、たまらない。我慢ができない。リーリアが僕のだと、もっと分からせたい。この愛しい子が、僕の全てだと。引くつく肉茎を掴んで、リーリアの割れ目へと擦りつけた。ぴちゃ、ぴちゃ、と室内に粘着質な音がしている。「シャル？なにちてるの？」ぱちりと瞬きをして、リーリアが起き上がる。自分の股間に顔を埋めていたシャルを見た。「リーリア、起きたの？」シャルは顔を上げると、濡れた口周りをペロリと舐める。
「おかおが、よごれてるの、シャル、めっ、よ？」リーリアの尻尾がシャルの横腹を殴った。ドン、という衝撃が脳髄まで揺らしたが、リーリアの力は今までの半分くらいの力だった。「あぁ！リーリア！愛してる」ぎゅとリーリアを抱きしめて頬ずりをする。リーリアの力が弱くなった！これで‥‥‥‥ 「シャル、これない？くりーむ？」お腹に散ったシャルの白い精液を、リーリアが指でとった。顔の前でしげしげと見ている。リーリア！そんなに見ないで？恥ずかしい‥‥‥‥ 「いっぱいついてるの、シャル、きれいにしてたの？」「いいや、あー、うん、お風呂入ろうか？」シャルはリーリアを抱き上げると、裸のまま浴槽に連れて行った。「さ、お湯で流そうね？」リーリアについている精液を、なんとも言えない気持ちで流していく。あぁ、僕の、可愛い子供達‥‥‥‥‥いつか、リーリアに‥‥‥！泡を立てて、二人の身体を包み込む。ぬるぬると擦り合わせるのが気持ちいい。「ふふふっ、シャル、あわあわ！」リーリアの無邪気な笑顔が、僕の胸に突き刺さる。あぁ、可愛い。なんでこんなに可愛いの？僕の身体に、泡だらけのリーリアが身体を擦り付けた。「ぅん？なに？これ、なに？」「あっ、あ、っ、リーリア、だめ」僕の肉茎が気になったのか、泡だらけのそこを小さな手が包み込んだ。「なにこれ？シャルのおもちゃ？」ぎゅ、ぎゅと握り込まれると、つい腰が動いてリーリアの手の中で上下に動いた。にちょにちょと音がする。泡の滑りで快感が増す。「はぁ、はぁ、はぁ、リーリア、ぁは、で、出る、ダメ、ぁっ」リーリアが僕のを触ってると思うと、先端からは早くもぬるぬるとした体液が溢れてきている。「おめしろ！おめしろい、ね？きゃは」リーリアはさらに強く、ぎゅうと掴んだ。その刺激で、勢いよくリーリアの顔に白濁が射出する。「あっ、あっ、リーリアっ！」腰が突き出す動きをしながら目の前の、咄嗟に目を閉じたリーリアの顔や手を飛沫が汚していく。「むぅ？なあに？へんなのでてきた！おかおに、いっぱい！」瞼の上にまで飛んだ精液で目を開けられないのか、リーリアは手を離した。「リーリア、目を触っちゃダメだよ？今流すから」シャルの精液で汚れたリーリアの顔に一瞬見惚れて、慌ててお湯をかけた。「ぷはぁ、なぁに？いまの、なぁに？もっかいして？」リーリアが愉しそうに僕を見る。可愛い。もっと汚したい。愛しい。犯したい。愛してる。「リーリア‥‥‥‥愛してる」リーリアを抱きしめると、思いの外弱々しい声が出た。「リアも、あえしてる。ね？」トントンとシャルの身体を優しく叩いた小さな手。胸が苦しい。身体の多きさが、もどかしい。リーリアを抱かえて湯船に入った。リーリア。ほんとに愛してるんだよ？こんなにすぐに立つし出るし、挿れたくなる僕を、ちゃんと愛してくれる？この先も、僕を選んでくれる？「リーリア、離れないで」シャルの言葉に、リーリアは細い腕を回して抱きしめた。「シャル、リア、ずっといっょよ、ね？」
ちゅちゅちゅとリーリアの顔にキスをする。リーリアは、くすくすと笑った。 ― 「朝だよ。おはよう、リーリア」寝ぼけ眼のリーリアの服を捲くり、パンツをずらす。いつものように、ぴちゃぺちゃと突き回して尿意を誘い。リーリアを持上げて、飲尿。「もう、でないのよ？」ペロペロと、いつまでもしつこく舐めるシャルに、リーリアの尻尾がパシンと叩いた。「ごふっ」シャルの身体が吹き飛ばされて、壁に叩きつけられる。「な、なんで？」リーリアの力が戻っている。戻った？どうして？絶望に満ちた顔でリーリアを見た。リーリアは欠伸を一つして、ころんと転がった。。それは、突然やってきた。竜妃が死んだのだ。竜族にしては身体の弱い方だった。そして国王と竜妃は番だった。国王が番であることは、わりと珍しい事だった。長く生きていても政略結婚が多い王族が、番と出逢うことができるのはあまりない事だ。番である２人はどちらかが死ぬと、残された者も弱って死んでしまう。絶対そうとは言い切れないが、往々にしてある事だった。国王と竜妃は生前から、いつまで経っても生まれてこない我が子を気に病んでいた。身体の弱い竜妃は、心労が祟ったのかも知れない。竜妃が亡くなり。病床で国王は、死に際にシャルにすべてを託した。他の物はいらなかったが、卵を貰えるならばと了承した。その夜から堂々と、卵と夜を共にできるようになった。 ― 「さぁ、今夜から僕と寝ようね」先程までの荒い息を落ちつけるように、殻に口づけをする。大量の白濁に塗れた卵を抱かえ、１人満足気に笑う。あれだけ出したのに、まだピクピクと肉茎は滾っている。「愛しているよ‥‥‥‥リーリア」自分がどうなってしまうのか、恐ろしい。国王と竜妃は、卵の名前を決めていた。男ならリディア。女ならリーリアと。この卵が女であることは間違いない。自分の番なのだから。シャルはさっそくその名を口にして、卵を汚しに汚して、犯しまくった。昼間は毅然とした態度で城を保ち。夜は獣になって卵を犯した。初めての愛しさに、どうやって伝えたらいいのか分からない。誰にも言えない。誰も教えてくれない。早く卵が割れる事を願って、今夜も卵を抱く。 ― この頃から、夢をよく見るようになった。それは色があったりなかったり、不思議な夢。小さな女の子が、なにか言っている。怒っているのか、必死で何かを伝えようとしてくる。顔も分からないし、声だって不明瞭で聞こえない。
ただ、何かを伝えようとしているのは分かったし、なによりとても、その子が愛しい。可愛くて可愛くて、足掻くその子を捕まえて抱きしめた。すんすんと匂いを嗅ぐと、花の香りのような何とも言えない良い香りがした。その香りに身体も頭も溶けていくようで、夢の中だというのに酩酊したように気持ちはふわふわと浮かぶ。可愛くて、もがく彼女の身体中にキスをして、舐めた。なんとなく、それが卵の中の君だと思った。そろそろ出て来るんじゃないかと、ドキドキした。けれど、卵はそれから四千年余り割れなかった。割れない卵に、鬱々と悶々としていた頃。ある日、広い竜国を放浪するという仙竜のようなじじいに会った。足元まで届きそうなくらいの白髪の長い髭に物珍しくなって、城に招待した。話すととても博識で、答えられない質問などなかった。その夜も、日課にしていた卵に精液をかけた。次の日「お主、卵をどうしたい？」突然投げかけられた公然の秘密に、ついたじろいだ。あえてその卵に言及する者は、その時代にはいなかった。生まれない卵は、この先もずっと生まれないままなのだと皆が思っていた。「卵を見せてみろ」何故か、じじいが何かを知っている気がした。城の最上階、誰も踏み入れられない場所に案内した。昼間の光に照らされて、淡く発光する卵をひと目見て「この卵には、お主の力が満ちている。このままだと、中身は一生出てこれないじゃろう」衝撃が身体を貫いた。「ど、どういう事だ？」「毎日、何をしておる？」胡乱な目をして、自分を見てくる。「‥‥‥せ、精液をかけている。毎夜」言わなければならないと思った。「はぁ〜、あほか」深く溜息をついて、髭に手を当てた。「この卵を孵化させたいなら、力を注ぐのを止めることじゃな」「なっ、なぜだ！」「なぜだ、じゃない！お主の力が強すぎて、本来の卵の力を圧えてしまっている。このままだと、いつか力尽きるかもしれんのう‥‥‥‥」「どうしたらいい？」卵を抱きしめる身体が、震えている。「止めることじゃな。精液をかけてはならん」「い、いやだ！」「ばかか！卵が死んでしまうぞ！」「‥‥‥‥どこまでなら、いい？」「どこまでとは？」「‥‥‥‥」卵を抱えて押黙る。「‥‥‥‥まあ、触るくらいなら問題はないじゃろ。まさか舐めたりはしてないな？それもダメじゃ。体液は全てダメじゃ！」涙目で震える姿に、呆れたように言った。城から去る時も、精液をかけるなと何度も念押ししてきた。その日から、身を切る思いで断卵射精をした。その後僅か一年で、卵は割れた。朝は、隣で眠る小さな温もりで目を覚ます。リーリアが目を覚まして１番最初に見るものは僕じゃなきゃ、嫌だ。
リーリアが目覚めるまで、じっと見つめる。ずっと見つめる。瞬きもしたくない、ただ見ていたい。そのうち朝の光が眩しいのか身じろぎをして、ゆっくりと瞼が上がっていく。その瞬間が好きだ。ドキドキする。胸がドクドク波打ち、例えようもない気持ちになる。「おはよう、リーリア」自分の顔の表情筋が、きっとゆるゆるになっている。「‥‥ぁ‥‥ぃ‥」まだ言葉にならない声に、それだけで愛しいという気持ちが溢れてくる。「リーリア、朝のオシッコしよう？」「‥ぁ‥ぁ‥‥ぃ‥‥ぁ」リーリアが何か言いたそうに唇を動かしているから、ペロリと舐めてキスをする。リーリアの釦を外して、下半身をさらけ出す。脚の間の肌色の割れ目が、美しい。服が脱がされ足をバタバタさせるリーリア。早く歩きたいよね？割れ目をペロリと舐める。ペロペロと舐めあげる。夢中になって舐めていると、温かな液体が少しずつ。勢いよく出てきた。零れないようにリーリアを持ち上げて、割れ目を口で覆う。リーリアの白い尻尾が、ピクピクと動いている。喉を鳴らしながらリーリアを受け止める身体が熱をもって、肉茎を大きく硬くさせた。動く喉に連動するように、精液が溢れだす。飲み込む度にビクビクとつき出すように動き、白濁したものをシーツに撒き散らした。甘美な時間は、あっという間に終わる。出なくなった小さな穴を、最後に優しく舐めて清めた。リーリアの尻尾がパチンっと１度、頬を叩いた。「リーリア、愛してるよ」顔が熱い。息も熱い。今はこれで十分。 ― 寝返りから四足歩行まで、あっという間だった。気持ちが追いつかない。まだ早いんじゃないかな？でも、よく動くリーリアは最高に可愛い。動くようになって目が離せない。僕がいない間、カーナ、ミリ、バーバラを交代で見守らせることにした。一瞬でも離れたくない、心が裂けるようだった。後から聞くリーリアの行動。終始見れなかった自分を呪った。城の事など、宰相どもに任せておけば何とかなるだろうに！リーリア目線で床に寝転び、リーリアと目が合うようにすると、必ずリーリアはその小さな身体で上に乗ってくる。そして通り過ぎる時に、パンっと１度尻尾で叩くのだ。リーリアがしてくれる事なら、なんでも嬉しい。「リーリア！はぁ、はぁ」柔かい身体が、身体を通り越していくのが気持ちいい。いつも立ちっぱなしだ。アレが。扉を叩く音がした。リーリアとの２人の甘美な時間は終わりだ。深い溜息をついて、起き上がる。扉の前まで来て、名残惜しくてリーリアを見た。「リ、リーリア！」側にあったおもちゃの馬に寄りかかって、リーリアがよろよろと立ち上がっている。立ち上がったことが嬉しいのか、リーリアは満面の笑みで僕を見た。「あぁ！リーリア！凄いじゃないか！」リーリアを抱き上げると顔中にキスをした。小さな手で、ぺたぺたと僕の顔を触ってくる。リーリアの初めては、全て僕のものだ。再び扉が叩かれる。「‥‥‥リーリア、待っていてね。すぐ戻ってくるから」リーリアを下ろそうとして「リーリア、僕以外に新しい事しないで？」
「‥‥‥シャル様、それは無理な話です」いつの間にか開けられていた扉。バーバラが呆れたように言った。 ― こんなに早く歩けるようになるなんて、リーリアはすぐ大きくなるじゃないか！頭の中で、リーリアが美しく育った姿を想像する。「美しい‥‥‥‥」つい、口に出していた。執務室で、僕の机にお茶を置こうとしていた侍女が恥ずかしそうに俯いた。「シャル。罪なことをするな」向かいの机に座る口の悪い宰相。「ん？何が？」机に置かれた水晶球。その中にはリーリアが映っている。それを見ながら、一口お茶を飲んだ。「いつもそれ見てるけど、それなんなんだ？」僕の横に来て、水晶球を覗き込む口の悪い宰相。「ん？何も映ってないが‥‥‥‥？」当たり前だ。リーリアの姿を他人に見せるわけにはいかない。これは国庫に眠っていた水晶球だ。自分の血を媒介に自分だけが見たいものを見られる。国宝だ。口の悪い宰相は、自分の席へと戻った。「さて、もう終わったから‥‥‥」立ち上がる。早くリーリアに逢いたい。「あ〜、竜騎士の団長が、士気が下がるのでたまには顔を出してほしいと言っております」極厚眼鏡を押し上げて、興味なさ気に呟く口悪宰相。「分かった。後日行くと伝えてくれ」士気が下がるのは困る。リーリアを守るため守りは硬くしておかねば‥‥‥‥ 「そうだ、女騎士を数名揃えておいてくれ」「了承いたしました」口の悪い宰相だが、聡い。言いたいことが分かったのか、すぐに紙を渡してきた。「これが、現在のリストです。この数名が忠誠共に実力を兼ね備えているかと思われます」受け取った紙をちらりと見るが、机に置いた。「明日テストをするか。実際動けるかどうか見てみよう」「了承いたしました」 ― リーリアの部屋へ向かう廊下で、見知った侍女とすれ違う。すれ違う時に頭を下げた侍女の手に、見覚えのある布が目に入った。「待て」「はい？」「それはなんだ？」「あ、こちらはリーリア様の服でございます。今から洗濯に」「これはいい！」侍女の持つリーリアの服を奪い取ると、もう行けとばかりに冷たく見た。「し、失礼いたしますっ」侍女は、震えながら離れていった。今日は運がいい。なかなか手に入らない物を手に入れた。リーリアの脱ぎたては、すぐに洗濯されるからな‥‥‥ リーリアの部屋に向かうのを止めて、足早に廊下を進む。突き当りの廊下をその勢いのまま、絵が飾られた壁に向かって歩く。壁抜けの宝具がつけられたその場所に、シャルの身体は吸い込まれた。しんとした室内。小さな明かり取りの窓が高い位置にあるだけの、薄暗い広い室内。よく見ると、壁に様々な物が掛けられている。手に持っていたリーリアの服を顔に押し当てた。大きく息を吸い込むとリーリアの甘ったるい香りに、顔が包まれる。あぁこのままずっと、こうしていたい。「そうだ、これはここに置こう」壁に設置されたガラスの戸棚の扉を開くと、丁寧に畳んで扉を閉めた。
部屋をぐるりと見回して１人悦に入ると、リーリアに逢うためさっさと出ていった。厳重に警備されたその場所を、潜り抜けられるのは僕くらいだろう。今日も今日とて、屋根を飛び越え、天井に張り付き、暗闇に身を潜ませる。彼女に逢うために。見張りの兵２人に、気配を殺して近づき背後に回る。こんなに簡単に近づけるなんて、職務怠慢じゃないか？瞬きの間に２人を眠らせ、そっと扉を開いた。窓から射し込む月夜の光に、楕円の大きな卵は僕が近くにいるのが分かったかのように、鈍く光った。温かく柔かい大きなベッドの上に、丸く横になって眠っているように見える。ギシリ、とベッドを軋ませてゆっくり近づく。「はぁ‥‥‥可愛い‥‥‥」近づくだけで身体が熱くなり、滾る。少しざらついたそこへ、手を伸ばして撫でる。指先でくすぐるように、宥めるように。下を出してベロリと舐めると、光が強弱をつけるように、感じて喘いでいる。「あぁ‥‥‥‥」卵をお腹の下に抱き込むと、硬くなった肉茎を取り出した。卵に擦りつけると、汁が殻に纏わりつく。「はっ‥‥はっ、ぁ‥‥‥っ」頭の中では、この毎夜の侵入者に犯される、あえかな声が聞こえている。にちょにちょと粘ついた水音が室内に響き、卵に擦りつける速さが速くなってくる。「あっ‥‥‥でる‥‥‥っ」ビクッビクッと腰を前に突き出し、全てを卵にかけていく。「今日も、たくさん出たよ」うっとりと眼を細めて、精液まみれになった卵を見る。卵は柔らかく光ると、いつものように精液を吸収していく。それは色白の、華奢な身体。それは、苺の様に赤い唇。それは、薄桃色の小さな蕾。それは、ふさふさと柔かい茂み。それは、甘い香りを漂わせる蜜。それらを全て、飲み込みたい。 ― それは鬱々とした日々だった。自分よりも強い者のいないこの城では、変わり映えのしない自分。淡々とした日々が過ぎていくだけ。少し前に平和条約が各国で結ばれ、当面平和な世界が保たれる。まあ、立ち上がれないほどに、ぐっちゃぐちゃにしてやったのだけど‥‥‥ 今では自分は、各国での最要注意人物として、その名と顔を知られている。何の感情も浮かばないから、冗談だとしても言われた事だけをしたら、こうなった。今はしがない身の上。竜騎士の総団長をやっている。国王は、僕の伯父だ。つまり、自分も王族と言われるのだろう。でも、白い角は生えていないから、国王にはなれない。頭の黒く輝く角を擦った。国王など、興味はない。何に対しても興味はない。昔から力は強かったし、何をしてもそつなくこなしてきた。黒い髪に黒い瞳。竜は黒くあればあるほど力が強い。昔からの言い伝え。だけど、それはその通り。本当。そのせいか成長がゆっくりで、身長などはなかなか伸び悩んでいる。竜騎士の部下らは、デカいやつらばっかりで見上げてばっかりだけど、竜族の潜在意識の中では力が強い者に自然と従ってしまうらしくただただ、強いことを崇拝されている。
女？女は、よく分からない。欲しいとも思わない。色々貰ったり、絡んでくるけど、やっぱり興味がない。番が現れれば全てが変わると、うまく番に出会った奴らは言うけど、どうかな？わかんね。城の最上階のバルコニーで、城下を見下ろす。強い風が、黒い髪をぐっちゃぐちゃにしていく。その数時間後、竜妃の産んだ卵に対して、初めての精通を経験した。シャルは、長い長い溜息をついた。見た目だけは眉目秀麗なシャル。艶々とした黒い髪。黒い睫毛を伏せて、黒曜石を磨いたような輝きを放つ瞳。そのどれもが竜の持つ最高位の力を持つものだけが持てる色だ。リーリアと共に、あまりない色は崇拝される。シャルの動き一つに、その羨望の眼差しを注がれている昨今。とりわけシャルのお茶汲みなどは競争率が高かった。机にお茶のカップを置いていた侍女が、顔を赤くしてシャルに見とれている。「こほん」口悪宰相の咳ばらいで、侍女は音もなく部屋を出ていった。シャルは顎を組んだ手で支え、真正面を見た。真剣な眼差しで見てはいるが、視点は合っていない。ぼんやりとした視界のまま、深く思考を飛ばしている。リーリアの成長とともに、尻尾の力が強くなってきている気がする。どうして？リーリアを後から抱きつき、いつものように肉茎を擦りつけていたら、寝惚けたリーリアに尻尾で吹き飛ばされた。朝の習慣、飲尿をしてたらリーリアの尻尾が頬を叩いて吹き飛ばされた。お風呂の時に割れ目を舐めたら、笑いながら尻尾でどつかれた。軟膏を乳首に塗りたくったら、飽きたリーリアの尻尾に殴り倒された‥‥‥‥‥ どれもその衝撃で射精して、ある意味満足しているものの、何か足りない。いや、足りないんだけど、そうじゃない。今まで、リーリアの尻尾で飛ばされようが、すぐに回復できた。しかし‥‥‥ そっと痛む横腹を押さえて、今朝のやり取りを思い出す。「リーリア、おはよう」「ん、ぅう」「リーリア？朝だよ？」「リア、ねむいの‥‥‥‥」「リーリア、ほら、起きて？」リーリアの力の入らない身体を上向きにして、飲尿の為に寝間着を捲くり上げた。パンツを引きずり下ろし、舌をリーリアに伸ばそうとリーリアの身体を持ち上げようとした。瞬間。「やっ、ねむいのぅ」リーリアの尻尾が、シャルの横腹につよく叩き込まれる。ベッドの天蓋を支える柱へ、身体かぶつかる。柱が折れて、天蓋が斜めに落ちた。シャルは息が詰まって、すぐに声が出せなかった。もうもうと埃立つ中、リーリアはぐしゃぐしゃのベッドの隙間ですやすやと寝息を立てていた。このままでは、ダメなんじゃないだろうか？リーリアとの心の触れ合いが、なくなっていくんじゃないか？「‥‥‥‥‥‥ダメだ！」「お、なんだ、なんだ？」気味悪げに見ていた口悪宰相は、急に立ち上がったシャルにびくりと肩を上げた。シャルはせっかく来た執務室から、仕事もせずに出ていく。「おいっ！！」積み上げられた書類に、ズレた極厚眼鏡のまま溜息を吐いた。何か対策をせねば‥‥‥‥ 爪を噛みながら、廊下を歩いていく。
リーリアが僕を見なくなるかも？ぞわりと背筋が粟立つ。いや、そんなことはない。そうはさせない。リーリアは僕の番なんだから。リーリアにも僕が唯一無二なんだから。心を奮い立たせて、じゃあ、どうする？‥‥‥‥‥ 頭の中で、長い白髪がチラチラと見え隠れする。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥じゃあ、どうする？長い白髪眉毛の顔が、僕を覗き込む。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ふぅあれは城下にまだ居たな、確か昨日も居たと兵士が話していた。一昨日も、一昨昨日も‥‥‥‥あいつ旅するって言ってたのに、ずっといないか？城の窓から、城下を見た。 ― 朝の閑散とした女街。夜の華やかさとは打って変わり、疲れた女が眠りにつく遊女街。他所見もせずに、とある宿屋に入った。宿屋の店番は、黒いフードを被る姿を見ても狼狽えなかった。身分を隠し遊びに来る。それがこの場所だ。「ここに、白い髭のじじいいる？」だが、この街には不釣り合いな小柄の背と若々しい声に、おやと眉を上げた。「何か御用ですか？伝言でしたらお伝えしますが」ドンと、受け付け台に革袋に入った袋を置いた。店番が不審げに袋を開いて、笑顔になる。「はい。こちらです。どうぞ」態度を一変させて、３階の客間へと案内した。女街では一番の大宿。その最上階ともなれば高級そうな壺などが廊下を彩り、足元も色彩豊かな絨毯が敷かれていた。朝の掃除中なのか、下働きの女達が掃除をしている横を通り過ぎ、一番奥の扉へと案内される。「こちらです」扉を開いて黒いフードの男を入れ、すぐに扉をしめた。関係ないとでも言うように。ここが一番いい部屋なのだろう。広い室内は壁紙や装飾も今までより高級そうで、落ち着いている。大きな机や椅子が何脚か置かれた部屋に、扉が3つある。おそらくここだろうと一番離れた扉を勢いよく開いた。大きなベッドの上に老人が１人。棺桶にでも入っているかのように手を組んで寝ている。「‥‥‥‥朝っぱらから、騒々しいの」薄っすらと片目を開けて、シャルを見た。「今から寝ようと思っとったのに‥‥‥」ふわぁと欠伸を一つして、弱々しく身体を起こす姿は老人そのものだ。しかし部屋に残る甘ったるい香りに、昨夜も遊び呆けていた跡が色濃く残っている。「旅には出ないのか？」椅子に座って、フードを取った。机には、昨夜飲み散らかしたのだろう酒が転がっている。「出てほしいのか？」「聞きたいことがある」「‥‥‥‥冷たいよな、お前」「リーリアの力が、強すぎる」「‥‥‥‥ふん、どうしろと？前にも言ったが、体液を与えるな」「それ以外で」「あのなぁ、蓄積された力は、放出するしかないんじゃよ。力を与えねば、いずれなくなる」「なくなることはない。いずれ番うのに、この先なくなる事はないだろう？」「ぐ‥‥‥‥確かに。しかし、大きくなれば力の制御もできるが、あのような幼子には無理じゃろう。無理を言うな」「ほら」
ドン、と大きな革袋をテーブルに置いた。「無理なものは無理じゃ、諦めい」ドン、ドンと革袋を積み上げる。「どうだ？何かあるか？」「‥‥‥‥‥お主、結構黒いよな」白髪の髭を撫でつけながら、考えている。「そうよな‥‥‥‥一般で言えば、法悦によって力の発散を行う方法が、あるにはあるが」「法悦？」「まあ、エクスタシーとかイク、とかじゃな。お前が射精するのと同じく女であれば快感でもって、発散させるのじゃ」「‥‥‥‥ほう」「じゃが、未熟な身体でそれほどの快感が感じれるかどうかは分からんし、身体に負担がかかるかもしれん」「まあ、気長に待てば、自らお主へ股を開くじゃろ？番なんじゃから」「焦ると碌なことにならんぞ？」返事をしないシャルに、仙竜が顔を上げると誰もいなかった。「話は最後まで聞けよ、若人‥‥‥」眉を潜めて、あの美しい幼き竜の子を思い遣る。とんでもない奴を番にしおったなぁ、先が思い遣られるわ。そう思いつつも革袋を開いて覗き込み、ホクホクと顔を緩めた。火喰い鳥が、中庭に飛んできた。小鳥のようなそれは、長い尻尾をひるがえして林檎の木に留まった。朱く燃えるような色合いの羽根が、晴天の日差しの中で鮮やかに目に映った。「なに？あれ、ない？」中庭でおやつを食べていたリーリアは、口元にべったりジャムをつけたまま興味深げに火喰い鳥を見た。ベロリとそれらを綺麗になめ取り、「あれは、火喰い鳥だよ、肉は柔らかくて美味しいよ」「あかいの、きれい。おいで」リーリアは火喰い鳥に向かって両手を広げた。火喰い鳥はリーリアの前まで下りてくると、首を傾げた。「ひくい、とり」低い鳥と発音したリーリアが可愛くて、ぎゅと拳を作った。「ひくい、とり、たべる？」リーリアは手元にあったジャムが乗ったパンを、火喰い鳥に投げた。火喰い鳥は驚いて、飛び立った。「ひくい、とり、なんで？いっちゃった」泣きそうな顔をして僕を見上げるリーリア。可愛い。「リーリア、投げたらダメだよ。果物でおびき寄せるんだ」リーリアの口に口移しで葡萄を押し込んだ。 ― その翌日、火喰い鳥は再びやってきた。「あっ！ひくい、とり、きた！」リーリアは葡萄を、口に咥えた。「ひふい、ほり、ほいへ」リーリアの言葉が分かったのかどうか、火喰い鳥はちょこちょことリーリアの側にやってきた。リーリアは咥えた葡萄を火喰い鳥に突き出した。火喰い鳥は首を傾げていたが、それを突いて食べる。「！！！」火喰い鳥はひとしきり食べると、再び飛んでいった。飛んでいった火喰い鳥にびっくりして、リーリアの口からぽろりと葡萄が落ちて転がった。「きた！かわいい！ひくいのとり、かわいい！すき！」リーリアは興奮して、火喰い鳥を褒めている。僕はリーリアを強く抱きしめた。
その日の夕食美味しそうな鳥肉を、リーリアに食べさせる。「リーリア、美味しい？」「ん、おいし」一生懸命咀嚼するリーリア。「火喰い鳥は美味しいからねぇ」僕は口の中にある肉を押し潰した。嫉妬で燃え上がる心は、火喰い鳥の朱よりも紅い色をしているだろう。「リーリア」素直に口を開けたリーリアに、鳥肉を押し込んだ。 ― 暖かな陽気の中庭。リーリアと僕は、今日もおやつを摘みつつ過ごしている。しばらくキョロキョロと周りを見回して、そわそわと落ち着かなかったリーリア。どれくらい待っても飛んでこない、あの朱い鳥。「ひくいとり、こないねぇ」しょんぼりしたリーリアが可愛くて、ちゅちゅと頬にキスをした。「火喰い鳥は旅する鳥だからね、きっと何処かへ飛んでいったんだよ」「‥‥‥‥」空を見上げるリーリアの視界を遮って、リーリアの瞳に僕を映した。僕を見て？僕だけ見て？リーリアに、僕はどう見える？リーリアはにっこり笑って、僕の頬を両手で包んだ。「シャル、とでく？」「僕は飛ばないよ。リーリアの側にずっといるから」「リアも、とばない」リーリアの小さな身体を包んで、閉じ込める。まさかリーリアが、口移しで鳥肉に‥‥‥鳥に葡萄を食べさせるとは‥‥‥‥ 僕の愛を思い知らしめたい。どれだけ愛しているのか、求めているのか、欲まみれの僕を愛して？リーリアが他所見をしないように、もっと囲わなくては。物思いに耽る僕の中で、小さな寝息が聞こえてくる。身体を開くと、リーリアの寝顔。「‥‥‥う、ん」寝辛かったのか、身動ぎしたリーリアの尻尾が僕の脚を強く叩いた。「ぐっ」あまりの痛さに思わず声が漏れる。股間に当たらなくて良かったと、冷や汗が出てきた。「ぅ、うん」ゴロリと敷布にリーリアを寝転ばせて、僕もその横に寝転がった。リーリアの尻尾がバシバシと僕の身体を叩くけど、ぎゅと抱き寄せて離さなかった。「シャル様‥‥‥‥」見た目だけ見れば健気に見えるシャルを、カーナは呆れて見ていた。あの火食鳥を捕まえ調理しておいて、知らないふりしてリーリアと一緒に食べるという所業に、身体が震える。シャルの欲深い執着が、リーリアを蛇のように囲っているように見えた。その日リーリアの飲尿をした後、執務室へと急いでいた。「来たって？」扉を荒々しく開けたシャルを、口悪宰相ヴァントは苦々しく見たが、頬が真っ赤に腫れた顔を見て呆気にとられる。「あ？そうそう、昨日の昼過ぎに朱い鳥を見たってさ‥‥‥それより、とうしたその頬。真っ赤だぞ？」「昼過ぎか‥‥‥‥今日は午後からの予定は無しだ」
「いや？まあ、うん‥‥‥‥了承しました」「じゃ、リーリアと朝食取ってくる」言いたいことだけ言うと、シャルはさっさと執務室を出ていった。「まったく‥‥‥‥」極厚眼鏡を外して眉間を指で揉んだ。窓の外を見たが、ぼやけて何も見えない。火喰い鳥の話を聞いてから、こうなるんじゃないかと、なんとなく予想をしていた。悪い予想は当たるものだ。今日は仕事を早く終わらせるために、朝早くからここへ来ていた。シャルもそれを見越してここへ来た。まったく。もう一人くらい、補助をつけるかなぁ‥‥‥ ヴァントの溜息が、一人では広い執務室に溶けて消えた。 ― 折れてしまいそうなほど細い首に、深い藍色の石がついた細いチョーカーを付けた。「ほら、見てごらん。よく似合う」鏡の中で、リーリアが嬉しそうに首元を見ている。光に当たると明るい青に輝く宝石を、角度を変えて見ている。「きれい。シャル、きれいね？」あぁ、可愛い。リーリアが可愛い。食べてしまいたい。ちゅ、と頬に口付けて鏡の中のリーリアに微笑んだ。「リーリア、僕のこと、好き？愛してる？」「ん、すき！あい、してる？」その一言で立ち上がる僕は、きっと弱い。けれど僕の膝の上に座るリーリアのお尻の下に、硬く強いそれを押し付ける。「リーリア！僕も。好きだ、愛してるよ」後から抱きしめて、リーリアの花のような甘い香りを肺いっぱいに嗅いだ。濃いリーリアの匂いがする。「リーリア、今日は部屋の中で遊ぼうね？」鏡を見るリーリアは、素直に頷いた。 ― やっと来たか！心が浮き立つ。リーリアに不憫な思いをさせるのも、今日で終わりだ。リーリアとの昼食を終え、１人中庭を見張る。静かな中庭に、鳥の羽ばたく音が聞こえてきた。あれか‥‥‥ 新たにやってきた火喰い鳥は、我が物顔で理の実を突いている。リーリアが生まれた時に、祝いとして国王に献上した理の木。それがこのように役に立つとは‥‥‥‥ ウロウロとしていた火喰い鳥は、首を小さく傾げてから飛び立った。シャルは黒いフードを被って、高く飛んだ火喰い鳥を追った。あれ？森に入っていくな？真っすぐ、中庭から続く森へと飛んでいく。見失わないように、シャルも森の中へと入っていった。随分奥まで来たが、ここまで来るのはシャルも初めてだった。城の中庭から続く森とはいえ、そんなに広くはないだろうと思っていたが、結構広い。森の行き止まりは、大きな絶壁の崖になるはずだ。下に何があるか見下ろせないほどの高い崖は、誰からも城へ立ち入らせないように作られている。この城自体、大きな山を削って作られているらしい。どうりで横幅共に、高さもかなりある大きな城だ。秘蔵の城の地図を思い出して、頭の中で今どこにいるか見当をつける。リーリアは今、何をしているだろう？くすりと笑って、さっき別れたばかりの愛しい姿を思い出す。火喰い鳥が急降下して、大きな洞窟へと入っていった。
ん？こんなところに洞窟なんてあったか？地図には書いていない洞窟へ、そっと入った。耳を澄ますと、僅かに水の音が反響している。この数千年で出来たのだろうか？奥へ進むと、さらに水音が大きくなった。鳥の羽音と声も聞こえてくる。むっとした熱さが伝わって、岩に張り付く苔も増えてきている。岩場の影から覗くと小さな湯溜まりがあった。こんなところに‥‥‥‥ 天井に少し隙間があるのか、外の光が差し込んで湯気が上がる湯溜まりを照らしている。巣があるのか、火喰い鳥は高い壁の岩の凹みで休んでいる。ん〜‥‥‥‥‥ ― 部屋の扉から、そっと外を覗う。ここは城の上。なぜ自分のような一兵卒が来れたかというと、たまたま上へ通っている侍女の姿を見かけたからだ。いや、たまたまじゃない。城の巡回をしながら、常に目を光らせていた。上への階段などないと思っていたが、侍女の後からこっそりついていくと、何もない壁へと入っていった。すぐに続いて入ると、そこには上へと上る階段があった。この上に、竜妃リーリア様が‥‥‥‥ 心臓がとんでもない動きをしているが、気配を殺して上へと上がった。幸いにも誰も降りてくる様子もなく、しんと静まり返った場所へと出た。キョロキョロと見渡しながら歩いていくと、柱が立つ中庭へと続く開廊へ出た。後から誰かの気配が近づいてくる。すぐに、空いていた近くの扉の中へ身体を潜り込ませた。ここに、竜妃が‥‥‥ そう思うと、城の匂いまでが芳しく感じて下腹に熱がこもる。声が聞こえて、薄く開いていた扉を慌てて閉めた。「‥‥‥で、そうね。今日は外へは出ないから、それでいいと思うわ」「はい。ではそのように準備致します‥‥‥‥‥」侍女の声が遠ざかっていく。なんだ竜妃は、今日は外へと出ないのか？今日逢うのは無理かもしれない。近衛兵など側近が部屋の前にいるだろうし、それらを倒せるだけの力など自分にはない。胸にしまった竜妃の肖像を、強く押えた。どれくらいそうしていただろうか？緊張でずっと気が張っていたせいか、うつらうつらと寝てしまっていた。どこからか声が聞こえてくる。心臓が、大きくどくんと跳ねた。扉に耳を押しつける。「‥‥‥でね、リアね、そうしたいのよ」小さな幼子の声。まだ舌足らずで、愛らしい声がする。この扉の向こうを、歩いている。ドクドクと身体中の血が沸き立つ。この、向こうに‥‥‥‥‥‥ 手が震える。今扉を開ければ見れる。だが気づかれるだろう。「とり、くるかもしれない‥‥‥‥」声が小さくなっていく。中庭へ、出た？音がなくなり、そっと扉を開いた。誰もいない。今しかない。軽いとはいえない鎧を外す。身軽になった大きな身体を植え込みの影に隠し、微かに聞こえる声を頼りに前へ進む。いた！遠く、竜妃の姿絵と同じ色の髪の毛をした少女の後ろ姿が見える。変わった黄色の葉をつける木の側に、敷物を敷いている。どうやらそこで午後を過ごすらしい。もう少し、近づければ‥‥‥‥ もうどうでもいい。番だろうとそうでなかろうと、あの少女に逢いたい。下腹が疼く。これはきっと一目惚れなのだろう。あの絵を見た時から、自分の決して口には出せない思いを何度ぶつけただろうか？この場所を少女が通ったと思うだけで、立ち上がった物から汁が滴る。少し離れた所から、近衛兵が見守っている。少女の側には、一人の侍女。
もっと、側に‥‥‥‥‥ 「どこへ行くのかな？」突然の冷ややかな声に、身体が固まった。まさか‥‥‥‥ 振り返りもできない。「先日の、兵士だね？」ゴクリと唾を飲み込み、震える身体をシャルに向けた。顔など見れない。自分はきっとここで死ぬ。「‥‥‥は、い」聞いたこともないしわがれた声が、自分の喉から出る。「よく、ここへ来れたね？どうやって？」「‥‥‥じ、侍女の後を」操られたかのように答えた。嘘などつけない。ただ、答えた。「ふぅん」気配が動き、自分の前へと影がかかる。「顔を上げて？」拒否はできない。ぎこちなく顔を上げた。真正面から初めて見た。若々しく容姿の美しい美童。そう表現すればいいのだろうか？黒い髪の毛に、黒い角。自分を見下ろす黒い瞳。悪意などなさそうな顔は、薄っすらと笑ってさえいる。あまりの黒の美しさに、見惚れてしまう。恐ろしくて美しい。魅了し畏怖させる存在。自分が黒い世界に取り込まれた気になる。その一捻りで死んでしまう。怖い。怖い。怖い。怖い。「は、ぁ‥‥‥ぅ‥‥」身体の震えが止まらない。固く噛み締め閉じた口の端から、涎が出てくる。さっきまで立ち上がっていた股間に温かなものが流れて、ズボンに染みを作り跪いた足元に汚い尿の溜まりを作った。「シャル様。申し訳ありません」女性の声が、背後から聞こえる。「入れといて」その一言で、意識が途絶えた。なにがいけなかったのだろう？何を間違えた？何から間違えた？壁に繋がれた裸の手足が痛い。剥き出しの肌に、もう羞恥など感じない。「ふぅん」またあの声が聞こえた。腫れた瞼がこれ以上、上がらない。「リーリアの姿絵を、何に使ってたのかな？」ひやりとした何かが、だらりと垂れた性器に当たる。「穢れたこれで、擦って汚したの？」ペタペタと叩かれる。なんの反応もしない、できない。ぴくりともしない身体にもう用がないのか、声も聞こえなくなった。どれくらいの時間そうしていたのか、それとも一瞬か風を切る音がして、首から何か温かなものが垂れた。「汚れたから、キレイにしといて」「はい」あの女性の声が聞こえたような気がした。気がしたのは、もう、死んでいるからだろうか‥‥‥‥‥‥ ゴトリと音がして、首が落ちた。ただ、逢いたかっただけ。一目見れればそれで良かった。―――――――いや、本当に？違うだろ？あの可憐な少女を抱きしめて、愛を囁き、裸にし、己の欲望をぶち込み、擦って、出したかったんだろう？泣いても離さずに、何度も犯し、孕むまで精液を吐き出し、思う様あの小さな白い身体を蹂躙したかったんだろう？最後に見たものは、床から見上げる自分の身体。
立ち上がった肉棒から、血に塗れた精液を吐き出していた。転がった顔に、パタパタと赤白い液がかかる。あぁ、気持ちいい‥‥‥‥‥ 薄暗い牢屋の中に、生臭い臭いが立ち込めた。さらさらと音もなく雨が降っているのに、雲間から明るい月夜が昼間のように室内を照らしている。僅かな雨の湿った匂いに、瞼がぴくと動いて闇よりも暗い黒い瞳を覗かせた。意識がはっきりしてくると、腕の中で眠る温かなぬくもりを確かめる。起き上がり、闇に浮かび上がる清純で無垢な姿を黙って見下ろす。抱かえられていたせいで小さく丸まっていたのが、コロリと上向きに寝返って力なく手足をを伸ばした。シャルはゆっくりと、眠るリーリアの服を首まで捲くり上げ下着を脱がせた。「スゥーー、はぁ。スゥーー、はぁ」リーリアの甘い香りを、中毒者のように吸い込む。これは、イクなぁ‥‥‥‥ 黒い瞳を、より黒くして細めた。枕元にあった軟膏を手にとる。脚を少し開いて、割れ目に優しい手つきで軟膏を塗った。クチクチと粘着質な音が響く中、指先に感じる軟膏とは違うぬめり。パラの香りに混ざり込むリーリアの香りに、下腹に立ち上がった肉茎から、じわりと粘液が滲み出る。空いている手に軟膏をつけると、色素の薄い二つの小さな蕾に塗りつけた。「ぁあ、リーリア、はぁ、はぁ」思わず小さく声が出てしまうほどに、リーリアのぬるつきでぐちぐちと秘裂から音がする。脚の間に顔をおくと、思いきり息を吸った。誘うような匂いに頭がくらくらする。舌でベロリと舐め、味を確かめる。一度舐めたら、もう一度。またもう一度。溶けた氷を舐めるようにベロベロと舐め回した。「‥‥‥ぅ‥‥‥ぁ‥‥は、ぁ」リーリアの小さな寝言が吐息に変わる。割れ目の襞を舌で押し分け、溢れ出てくる体液を吸う。舌を小さな穴には入れずに、上にある小さな丸い粒を舌先でくすぐった。リーリアの身体がぴくりと反応する。肉茎の先からは、我慢できない汁がシーツに垂れて糸を引いて落ちた。「リー、リア」舌先で突かれる粒に、リーリアの身体も反応が強くなっていく。あぁ、ダメだ。挿れて、擦りつけたい。我慢する肉茎が耐えきれないとばかりに大きく反り返り、ヒクヒクと動く。入らないリーリアの小さな穴の周りを、ぐるぐると舌で回して溢れていた膣液を舐め取った。甘いその味に、意識が朦朧とする。それがいけなかったのか、滾った肉茎から白い精液が少しずつ飛び出していく。止められない。あ、あ、あぁ、出る、出るリーリアを突いて、リーリアに擦り込みたいのに、決壊したように白濁が次々と溢れ出し、その飛沫がリーリアの割れ目に飛び散った。「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」呆然とリーリアを見下ろした。リーリアを果てさせるつもりで、自分が先に出てしまった。白濁まみれの肉茎を見る。いまだにビクビクと律動している。挿れたくて、擦りたくて、出したくて、その気持ちがつい先行してしまった。僕は、少しの我慢もできないのか？ヒクつく肉茎を、改めて見下ろす。もしリーリアの身体が大人になった時、我慢できないのダメなんじゃないだろうか？痛くさせるかもしれない。沈んだ気持ちで、幼いリーリアの身体を抱きしめた。 ― 「‥‥‥‥‥で、何？」酔っ払って赤ら顔の白髭が、憮然としている。
左右には、酒に酔って潰れた遊女。足の間には、これもまた酔い潰れた遊女。大量の酒瓶が転がり、遊女達のはだけ脱いだ衣類が散らばっている。「こんな夜更けに、何の用事じゃ？」欲にまみれた仙竜が、迷惑そうに目を細めてシャルを見た。「出てしまう」「出‥‥‥‥‥‥何？」「出てしまう。すぐに」「‥‥‥‥‥‥‥‥はぁ？」「出てしまうんだ、果てさせるどころじゃない」「あ？あー‥‥‥‥‥‥」漸く理解した顔で、白い髭を撫でた。「どうすればいい？リーリアの匂いを嗅ぐだけでダメだ。出る。挿れたくなる」「お前、あの幼子にやったんか？鬼畜じゃのう」落ち込みしゃがみ込むシャルの、雨で濡れた黒い髪の毛から雫が滴り落ちた。絨毯に小さな丸い染みを作る。「番とは、そういうもんじゃ。本来ならお互いがそうなる。体液など摂取してしまうと竜の本能なのだろうな〜、とにかく孕ませようとしてしまうんじゃ」「‥‥‥‥‥‥」「お前の場合、力が強すぎて制御しきれんのじゃろうな」「‥‥‥‥‥‥」「とくに、番が未熟で待たねばならん。それも要因の一つじゃろうなぁ」「解決方法は？」「ないな」じっと見つめ合う黒い瞳と、白い眉毛に覆われた焦げ茶色の瞳。ドン、ドン、ドン、ドン。シャルは目の前に、大きな革袋を積み上げた。袋の中でシャラリと音が鳴る。「ないな」ドン、ドン。ジャラリと金属的な音が鳴った。「ないことも、ないな」白髭を触り撫で、思案する。「ふむ。解決方法なぁ‥‥‥‥先に出てしまうなら、やっぱりお主が耐えれるように、しないといけないんじゃろうが‥‥‥‥‥‥理の実。というのを知っとるか？」「？」「赤くて、小さくて、割ると小さな種みたいなのがびっしり詰まっている実じゃ。葉っぱが菱形でな、色は年中黄色い。高い山脈の何処かにあるという、珍しい理の木に実っておる」「‥‥‥‥それ、城の中庭に生えてるわ」「はぁ？」「だいぶ昔、珍しい木を見つけたから、抜いて中庭に挿した。多分その木だと思う」「‥‥‥‥なら、話は早い。その実な、火喰い鳥が大好物でな」「‥‥‥‥‥‥」「火喰い鳥というのは、こう、朱くて、尻尾の長い」「知ってる」「そうか？その、火喰い鳥がな、温泉が好きで。その火喰い鳥の浸かる温泉には効能があって、浸かると竜の本能を抑えると言われておるんじゃ」「‥‥‥‥‥‥」「それに浸かれば、お主の滾る欲望が少しは軽減されるのじゃないか？」「‥‥‥‥‥‥」「この温泉には、逸話があっての。昔性欲の強すぎた竜が番に愛想をつかれそうになって、たまたま入った温泉で仲直りしたという」「‥‥‥‥‥‥」「どした？逸話と言えど、試してみる価値はあると思うがな？」「喰った」「‥‥‥‥‥‥」「‥‥‥‥‥‥」「バカか、お前。なんで？」「リーリアに懐いてたから。つい」
「つい、で殺すな。いつ？」「つい最近。先月くらい？」「アホめが！」仙竜は話に前のめりになっていた身体の力が抜けて、背もたれに身体を沈めた。「‥‥‥‥‥‥‥‥しかし、まあ、火喰い鳥は一匹ではない。ただ縄張り意識が強くてな。他の火喰い鳥がいたら近くには寄ってこん。次が飛んでくるとして‥‥‥‥先月くらいなら、そろそろ飛んでくるかもしれんな」「なるほど、そこを掴まえればいいんだな？」「違うわ！追いかけるんじゃ、温泉へと飛んで行くはずじゃ。喰うなよ？」「旨いんだが」「喰うなよ‥‥‥‥お前、もう、ほんと」顔を両手で隠し項垂れていた頭を上げると、シャルの姿はなかった。絨毯にできた水溜まりの染みが、急いで来たのだと物語っている。なら、急いで帰るか‥‥‥‥ 「力がありすぎるのも、大変じゃのう」遊女の頭を撫でて、近くにあった酒を喰らった。リーリアに、南の森で採れた桃を持ってきた。中庭で敷物を広げて、リーリアを足の上に乗せる。目の前で桃の皮を剥くのを、じっと見ているリーリア。可愛い。「リーリア。あ〜ん」ナイフで小さく切った桃を、リーリアの口に持っていく。「あ〜、ん」言葉の真似っ子をするリーリアは、ぱかりと赤い口を開けた。そこへ、桃を放り込む。甘い桃にリーリアの顔が蕩けて、もっとと口を開けた。「シャゥ、あ〜」口を開けて待つリーリアの可愛さに、悶える。切った桃を自分の口に入れて、リーリアの口に口移しで与える。咀嚼するリーリアの口元から、たらりと桃の汁が溢れる。それをペロリと舐めとり、ついでにリーリアの甘い唇も舐めた。「もっお、もっ、お！」ぱかりと口を開けるリーリア。桃を大きく噛り口の中で潰す。リーリアの口を塞いで、舌で潰れた桃を汁ごと与えた。「美味しい？リーリア」リーリアはごくんと飲み込む。また口の周りが汚れている。ペロペロと舐め取った。「リーリア、好き？」リーリアはちょっと首を傾げてから、頷いた。「す、き、すき！シャ、すき、もっお！」リーリアが初めて好きと言ってくれた！涙が出そうなほど嬉しい。ズボンの中で一瞬で立ち上がる。擦りつけたい。あぁ、可愛い。リーリアが可愛い。「リーリア、あーん」桃を口に含んで、リーリアに口付ける。潰した桃の塊ごと舌をリーリアの口の中へ押し入れた。「ん‥‥あ‥う‥‥」クチュクチュと桃と唾液が混ざり合う。リーリアの小さな舌へ舌を絡ませ、口蓋を舌でなぞった。苦しそうなリーリアを見て舌を抜き、濡れた口の周りをベロリとなめ取った。リーリアは、汁をごくんと飲み込む。リーリアのほんのり赤みを増した顔。濡れて赤くなった唇。苦しくて潤んだ瞳がシャルを見上げる。「シャゥ、もっ、お」リーリアの誘うような眼差しで、パンツの中がはち切れそうに立ち上がる。可愛い。
「リーリア。愛してる」もう一度リーリアにキスをし、柔らかな唇を割り、桃の味のする舌をリーリアの小さな口の中に入れた。「んっ！！！」ガブリとリーリアに舌を噛まれる。鉄のような血の味が広がる。リーリアは微妙な顔をして噛んだものを離した。「シャ、もっ、お」「も、もっと？」リーリア、なんて小悪魔なんだ！あぁ、可愛い。ヒリヒリとした舌をもう一度リーリアに近づけた。「んっ、んっ！もっ、お！！」リーリアの目線が、桃に注がれている。「‥‥‥‥リーリア。桃と、僕と、どっちが好き？」「もぅ？す、き！」リーリアは満面の笑みで桃を持った。可愛い。可愛いから、もう、いいや。 ― リーリアの尻尾が、バシバシとお尻を叩く。急に力が強くなったリーリアは、それが嬉しいのか尻尾をよく振り回した。なぜか僕だけ近づくだけで叩かれるから、お尻を差し出してみた。「あっ、あぁ！リーリア！」バシン、バシン！背中に電流が走ったみたいに痺れる。パンツの中がネバネバとした白濁で汚れてしまった。それほど痛くはないけど、ずっとこれじゃあリーリアを抱き締めることもできない。悲しみの涙が、ぽろぽろと零れ落ちた。「リーリア‥‥‥」顔を覆う指の合間から、リーリアを見た。リーリアはケラケラと笑ってる。あぁ、可愛い！「リーリア様？尻尾で叩いてはいけません」バーバラがリーリアを抱き上げる。リーリアはキョトンとしてバーバラを見た。可愛い。「ほら、シャル様が痛いと泣いておられますよ？」「いたい？シャゥ、いたい、いたい？」「リーリア、こっちに来て？」リーリアが、よちよちと歩いてくるのを抱きしめる。「いたい？」「ん？痛くないよ。リーリアがすることはなんでも嬉しいんだ」「？」首を傾げるリーリアが可愛い。「でも、今は抱っこさせて？」柔らかなリーリアの髪の毛に顔を埋めて、匂いを嗅いだ。リーリアに叩かれたお尻がじくじくする。まだ硬く立ち上がっていた肉茎が、リーリアに向けて再び射精した。もっと、叩いて、リーリア。リーリアが可愛い。うん、知ってる。よく歩き回るリーリアに、バーバラ達は四苦八苦しているようだ。水晶球の中で、リーリアのやりたい放題が映っている。あぁ、可愛い。「シャル。この紙にもサインを‥‥‥」リーリアの愛らしさにニヤけた顔を、口の悪い宰相にドン引きで見られた。悪口宰相は、あ、口悪宰相は紙を数枚机に置くとシャルを横目に席に戻る。
「この前の対抗試合で、黒竜騎士団が勝っただろう？それの祝いとして、祝勝会を行いたいそうだが‥‥‥」「祝勝会ねぇ‥‥‥」リーリアが絵本をバーバラに読んでもらっている。可愛い。「まあ、夜会パーティーだな。シャルも顔を出してくれないか？士気が上がるだろうし」「ふぅん‥‥‥‥」リーリアが絵を見て笑っている。あぁ、可愛い。「決まりだな。じゃあ、そのように手配するからな」極厚眼鏡を押し上げて、再び積まれた書類に顔を戻した。「リーリア！」歩いているときに何かに躓いたのか、リーリアがよろけて転けた。突然リーリアの名前を叫び立ち上がったシャルを、冷ややかな目で口悪宰相が見ている。「ヴァント、これで書類は終わりだな？もう今日は戻る」シャルはそう言いながらさっさと扉を開けて、出ていった。何ということだ！早く行かなければ！転げて泣き出したリーリアを、シャルはすいと持ち上げて抱きしめた。「シャル様！いつお戻りで？」「今日は、もういい」ぽろぽろと涙を流すリーリアに頬ずりして、涙を舐め取る。バーバラ達が部屋から出ていった。「リーリア、リーリア、泣かないで？」しゃくりあげるリーリアの顔を、ベロベロと舐め回した。あぁ、美味しい。「いたい、の！いたい」リーリアはシャルの首にしがみついて、顔を埋めた。はぁ、可愛い。「ん？どこが痛いの？」リーリアの背中を擦って、落ち着かせる。「しっお！いたい」「‥‥‥尻尾？」リーリアを引き剥がして、動きやすい短いワンピースから覗く白い尻尾を見た。よく見ると、白銀に輝く小さな鱗が１枚取れている。キョロキョロと周りを見回すと、部屋の片隅にキラリと鱗が光っていた。転げた時に、どこかにぶつけたのだろうか。「あぁ、可哀想に。それは痛かったね」ちゅちゅちゅと顔にキスをして、リーリアをベッドの上に下ろした。「リーリア、消毒しないといけないなぁ」シャルは至極真面目な顔で、リーリアを見る。「しょ、どく？」手際よくリーリアのワンピースを脱がせる。白いパンツもするりと脱がせ裸にした。それをリーリアは、大人しく見ていた。「ああ、リーリアは良い子だね」リーリアに見つめられて、熱が股間に集まってくる。リーリアの尻尾を、ぬるりと舐めた。「キャ、キャ！」くすぐったいのか、リーリアは無邪気に笑っている。「今、消毒するからね？」リーリアを舐めたことにより、リーリアの身体から立ち上る甘い香りがシャルを酩酊状態にしていく。「リーリア、ここも舐めようね、消毒だよ」尻尾から、脚の付け根まで舐め進める。ズボンの中で、酷く張り詰めた肉茎がビクビクと脈打つ。すでに漏れ出た体液が、あと少しで限界を迎えそうだ。「はっ、はぁっ、はっ」
呼吸が荒くなり、リーリアの割れ目に舌を伸ばした。舌が触れた瞬間、シャルはリーリアの尻尾で吹き飛ばされた。「ぐぁあっっ！！！」飛ばされながら、シャルのズボンの中で耐えられなかった精液が、勢いよく大量に放出した。 ― 薄暗い隠し部屋は、小窓から差し込む光で部分的に明るかった。リーリアの薄く小さな鱗を光に透かしてみると、白銀に輝き薄暗い部屋の壁に虹を作った。「綺麗だ‥‥‥‥」シャルは溜め息をついた。ペロリと舐める。ペロペロと舐める。リーリアの甘い味が、口の中に広がっていくようだ。グンと硬さを増した肉茎が、またリーリアを求めている。夢中になって舐めていると、ピリリと舌に痛みが走った。薄い鱗で、舌を切ったようだ。シャルは溜息を吐くと、ガラスケースに鱗をそっと置いた。その隣には、リーリアの卵の殻が余さず置かれている。他にも色々飾られている物は、全てリーリアに関わる物だ。「‥‥‥‥‥」シャルは何か思いついたように、部屋を出ていった。 ― 「リーリアの、絵が欲しい」シャルの言葉に、口の悪い宰相ヴァントが顔を上げた。「やっとその気になりましたか‥‥‥」ごそごそと引き出しを漁って、１枚の紙を取り出した。「竜妃が生まれたのに、国民はその姿を見ることもなく、姿絵すらないとは、やはりおかしいですからねぇ」シャルに渡された紙には、女流絵師の名前が連なっている。「腕は、確かなんだろうな？」「はい、それはもう確認済みです。すぐに呼び寄せましょう」今までリーリアの姿を晒す行為を、頑なに拒んでいたシャル。シャルのリーリアに対する執拗な執着は、一般的な番よりも強く出ていた。変に刺激させてリーリアをどこかに連れて行かれ、隠されでもしたら大変だと、リーリアに関する事はシャルの意向に沿うように物事が進められている。なまじ規格外の力があるせいで、他の者は恐ろしくて近づけないし歯向うことすらできない。向かうところ敵なしなシャルだが、リーリア以外には興味がないので今は平和を保っている状態だ。が、竜妃となるリーリアの姿絵１つもないこの状態は、異常とも言える。国民には憶測で作られた姿絵などが出回って、そろそろどうにかしないとリーリアが竜妃になった時に困ることになるだろう。シャルの心変わりに、ヴァントはやれやれとほっと息を吐いた。そんなヴァントの気持ちも知らず、珍しく精悍な顔つきをして何かを考えているシャル。何か嫌な予感がしたヴァントは、しかしそれを口には出せずに極厚眼鏡を押し上げた。国を継ぐ竜は、白く艶々しい角を持っている。それは大きく、それは繊細に、各々様々な角の形ではあったが、国を引き継ぐことができない者には決してその色の角は生えなかった。歴代の国王から、それは脈々と今も続いている。不思議と白い角を持っていない者が、王となることはなく、その不思議な色は竜の国民にとって神秘的で憧れの対象だった。最近リーリアは、角がむず痒いのか僕に角を押し付けてくる。そうかと思えば、次の瞬間にはベッドの角に、机の角に、バーバラに、カーナに、ミリに。 ‥‥‥‥僕だけにして？暴走しがちなリーリアを抱き寄せて、瑞々しい葡萄を口移しで与えた。すぐに、はぐはぐと咀嚼に夢中になるリーリア。リーリアの白い角は、まだ小さい。ちょこんと髪の毛の間から左と右に２つ覗いている。真珠のように光を反射して、光加減によっては金にも銀にも輝いて見えた。またリーリアが、ボクの腕に擦りつけている。「リーリア、痒いの？」
「ん、かゆいの、リー、かゆい」少しずつ言葉を覚えているリーリアは、舌足らずながらも主張してくる。「どれ？」リーリアの小さな角を見る。角が大きくなるとき、表面が少し乾燥して痒くなったりする。リーリアの角も大きくなっているのだろう、少し表面がカサカサしていた。「ん〜、乾燥してるね。塗り薬ある？」「はい。角に塗る保湿軟膏を持ってくるように、頼んでおります」カーナが時計を見たのとほぼ同時に、扉が叩かれた。カーナが扉を細く開け、ぼそぼそとやり取りする声が聞こえる。「シャル様、こちらが保湿軟膏です」カーナから渡された軟膏の蓋を開くと、薔薇の花の香りが広がる。「いいにおい、ね？」リーリアの顔が、嬉しそうに綻んだ。「シャル様。リーリア様への贈り物が届いたようです。確認に下に行ってまいります」「そう、分かった。ヴァントにも言っておいて」「はい。かしこまりました」カーナが音もなく扉を閉じたのを見て、リーリアを抱き直すと軟膏を指に取った。「リーリア、これを角に塗ると痒くなくなるからね」「ん」リーリアは角が生えている頭を、シャルに突き出した。ぬるぬると薄く、角に軟膏を塗っていく。「‥‥‥‥‥」大人しく、シャルに薬を塗ってもらうリーリア。シャルは頭の中で、この薬の効能などを思い出した。「リーリア、これさ、ここに塗るとカサカサしたのなくなっちゃうんだよ？」ガバリとリーリアの脚を大きく広げて、パンツの真ん中をトントンと指で叩いた。「かさかさなに？かさかさ、なるなるの？」「塗ってみようか？」「ん」リーリアを立たせて、パンツを足元までずらした。「リーリア、見えないから、スカート持てる？」「みえないの？ん」持ち上げたスカートを、リーリアに持たせた。リーリアはワンピースを、ガバリと首の方まで持ち上げた。膨らみのない胸、白いお腹、全てをさらけ出した。「みえる？」「あぁ、リーリア！」可憐な少女がスカートを持って、恥じらいもなくシャルに裸を惜しみなく見せつけている。シャルは自分がそうしたとはいえ、淫らな光景にゴクリと唾を飲み込んだ。声が弾む。すぐにでも舐めたい。そんな衝動をぐっと堪えて軟膏を指に取ると、リーリアの小さな乳首へとそっと塗りつけた。「ひゃ、つべたい」「大丈夫、最初だけだよ」ぬりぬりと右の乳首、左の乳首と塗りこむと、ほんのピンク色に染まる。「ふふっ、ふっ」「くすぐったい？」「ん〜？」指でも摘めないくらいの小さな蕾に舌先で、ゆるゆると舐める。右へ左へ鼻息荒くそうして満足すると、下の割れ目へと指を滑らせた。軟膏でぬるぬるしてた指で擦ると、割れ目から少しの粘液がじわじわと滲み出てきた。「リーリア、リーリア」シャルのズボンにも、じわじわと染みが広がっていく。
クチクチと音が聞こえだすと、興奮がより高まってくる。「シャル、くるしいの？」赤ら顔でハァハァと苦しそうに眉を下げていたら、リーリアがシャルの顔を覗き込んだ。「リーリア、苦しい。苦しくて、死にそう。リーリア、ぁっキスして？舐めて？」「ん」驚いたリーリアの顔がすぐに近づいてきて、シャルの唇をペロリと舐めてキスをする。「はっ、あっぅ」あっという間にズボンを白濁まみれに汚して、なお肉茎を前へと突き出した。「シャル、しなないで」リーリアがシャルの黒い髪の毛をよしよしと撫でた。「愛してる、リーリア。僕は死なないよ。だから」離れないで、とリーリアを強く抱きしめる。ぐりぐりと、リーリアは角をシャルの肩に擦りつけていた。 ― 「シャル様、軟膏塗り過ぎです。どんだけ塗ったんですか？」リーリアの角を見ながら、バーバラが呆れたように言っている。その手に持つのは、ほぼ空になった容器。「乾燥してたから。また、新しいの貰ってきといて」この軟膏は、仙竜じじいがリーリアの為に置いていった土産だ。効能は、吹き出物、しもやけ、乾燥、皮膚炎、水ぶくれ、火傷、キズ、その他。副作用、身体の火照り、膣分泌液の過剰な排出。これは使える。シャルは黒い瞳を細めて、妖しく微笑んだ。僕だけが昇り詰めて、果てる。虚しい事だ。これでリーリアを貪ってしまいたい。感じさせて、昇らせて、身体の奥からしびれるような快感を、リーリアに感じさせたい。僕に、早く追いついて。早く僕と、愛し合おう？食事はいつも、リーリアはシャルの膝の上に座る。リーリア用に小さく切ってある肉や、魚や、果物を、シャル自らがリーリアに与える。横抱きにしたリーリアに、シャルは肉を咥えたままリーリアに口付ける。リーリアはそれを、雛のように啄んで口の中に入れる。「リーリア、美味しい？」「ん、おい、し」一生懸命咀嚼しながら、シャルを見上げる。リーリアの汚れた口元は、シャルが舐め取る。それが、リーリアが生まれてからの習慣だ。リーリアが拒むことも、シャルがそうしないこともない。毎日、毎回、シャルとリーリアはそうして食事をとっていた。「‥‥‥‥‥シャル様」「リーリア、美味しい？」「シャル様」「何？端的に言って」「そろそろリーリア様に、食事のマナーをお教えしたいのですが？」「え〜〜〜」「歯も生えてきましたし」「やだやだやだ〜」シャルはリーリアを強く抱きしめた。「ダメです」「いやだ」「ダメです」「いやだ」「‥‥‥‥‥では、こうしましょう？朝昼晩以外は、シャル様の自由になさったら良いんじゃないでしょうか？」「え〜〜〜〜」
「‥‥‥‥‥」「え〜〜〜〜」バーバラの冷ややかな目が、顔を背けたシャルに突き刺さった。 ― それは、城の最上階の中庭。暖かな午後の日差しの中で、リーリアは遊び疲れて眠っていた。水晶球の中で稚いその姿に、愛しさが込み上げてくる。リーリアの寝息すら感じるのではないかと思うほど、シャルは瞬きもせずに凝視して見ていた。執務室の一画、ソファーに座り極厚眼鏡を押し上げる。口悪宰相ヴァント。「‥‥‥ところで、聞きたいことがあるんだが？」「なんだ？」「ついこの前、女流絵師を招いたそうだが‥‥‥描いてもらったんだろ？」「ああ」「なら、その姿絵は何処だ？」「‥‥‥‥‥はぁ？」意味が分からないとでも言うように、シャルがヴァントを見た。「リーリア様の姿絵を、国民に配布する」「‥‥‥‥あれは、そういうんじゃない」「どういうことだ？肖像画を描いたんだろう？そろそろ実物の姿を公にしとかないと、リーリア様が困る事になるぞ」「‥‥‥‥チッどうしてもと言うなら、僕が描いた絵を出そう」深く溜息をついて、机の引き出しを引いた。「いつの間にそんなところに！？」「これは、僕が癒される為に描いた物だ」シャルから受け取る。小さなキャンバスに描かれた、ヴァントも初めて目にするリーリアの姿。「これが‥‥‥‥」ゴクリと唾を飲む。バーバラやカーナ達、口の硬い側近の侍女しか知る由もないその姿。なんだこの姿は？神話の女神か？マジか‥‥‥ 匂い立つような美しさとはこのことかと、シャルの絵が上手すぎるのではないのかと疑うほど、竜妃は可憐な美少女の姿をしていた。髪の色や瞳の色、顔の造作。それらのことは耳に聞いていても実際絵として目の前にあると、生存している者として実感する。だからかリーリアに対する、シャルの執拗な執着にようやく納得したというか、多少の理解をした。「‥‥‥‥なるほど。分かった」「美しいだろう？」「ぐ、確かに、美しい‥‥‥しかし、これは配布するからな！」肖像画を握りしめて、ヴァントはシャルを見た。「‥‥‥‥‥」シャルは重い溜息をつくと、部屋を出ていった。 ― 薄暗い収集部屋に、金の額縁に彩られた１枚の絵が飾られている。リーリアとの密やかな行為が描かれた、飾られたばかりの絵を指でなぞる。 ‥‥‥少し、やりすぎただろうか？僕が、もう一人いたら描けたのだけど‥‥‥‥‥ 苦渋の選択だった。リーリアの身体を他人に見せるなんて！‥‥‥‥でも、どうしても、あの瞬間を残しておきたかった。今しか残せない記録だ。僕が双子でなかったことを、こんなに後悔したことはない。この絵を見るたびに、熱く硬くなる。リーリアの吐息を、あの味を思い出して‥‥‥‥熱い溜息をついた。誰にも見せない。二人だけの秘密‥‥‥‥ああ、あの女流画家は誰にも言わないだろう。金にも名声にも目もくれなかった。あの陶酔しきった顔には、僕とリーリアへの忠誠みたいなものが見て取れた。あれは足を舐めろと言われれば舐めるだろう。舐めさせないが。腕は確かな女だ。次の絵のことを言うと、目を輝かせていた。
次は、リーリアの肖像画を描いてもらうかな。そうだ、この壁一面にリーリアの絵を飾ろう。 ― 「リーリア、リーリア？」ぐっすりと眠ってしまったリーリアを、膝の上に抱く。汗をかいたのか、少し汗ばんで額に汗をかいている。リーリアの前髪を横に撫でつけて、ついでに匂いを嗅いだ。リーリアの蒸れた香りで、穢れた自分の心が浄化されるようだ。ふんふんと鼻息荒くしていたら、気配でリーリアが起きた。「シャゥ？」「リーリア、起きたの？」「う、‥‥んぅ」目をしょぼしょぼさせて、眩しそうにシャルを見上げた。可愛い。ちゅ、と唇にキスをして、ペロリと舐めた。「ふ、ふふぅ！」リーリアはくすぐったかったのか小さく笑った。「リーリア、好きだよ。愛してるんだ」抱きしめたリーリアの首元に、顔をうめる。「す、き、シャゥ、すき」ガバリと顔を上げてリーリアを見た。リーリアは無邪気な顔で、首を傾げてシャルを見ている。「リーリア、僕のこと、好き？」答えは分かっているのに、声が震える。「すき、シャゥ、すき！いいこ、いいこ」リーリアはシャルの頬に、自分の頬を擦り合わせた。「あぁ、リーリア！」愛してる。愛してる。愛してる。ズボンの中ではち切れそうな肉茎を、リーリアのお尻に撫でつけてしまう。「僕も、リーリアのことが大好きだよ」リーリアの中に突き挿れて、出して、挿れて、擦って。僕の全てでリーリアを愛したい。「ちゅ、リーも、ちゅ、ちゅ」リーリアの唇が、小鳥のように僕の頬に触れる。「はぁ、リーリア」僕はどうなってしまうんだろう。リーリアに触れられただけで突き挿れたくなる衝動を、いつまで耐えられるんだろうか？リーリアをぎゅと強く抱きしめて、僕の身体に閉じ込めた。くぐもった声で「シャ、すき」と聞こえる。もう！リーリア！可愛い、可愛い、愛したい。犯したい。全部。ひくひくと腰が前に動く。リーリアに擦り付けるように、射精した。朝の晴れ晴れとした日差しが、リーリアの薄く灰色がかった紫色の髪の毛が、閉じられた長い睫毛が、淡い紫の色合いで燦爛と輝いている。幼子の柔らかくふっくらとした頬に、ツンとした小さな鼻。白く綺麗に揃った歯が並ぶ鮮やかな赤い口が、ぱかりと開いて僕を誘っている。ナイフで切り分けた汁がたっぷりの肉を、その真っ赤な口の舌の上へ乗せた。肉を乗せた口は反射で閉じると、ゆっくりと咀嚼する。薄く見開いた瞳が、蠱惑的に僕を見ている。「リーリア、美味しい？」「んっ、おいしー、もっと、あっ」可愛い。可愛い。あぁ、可愛い。再び口を開け、僕を誘ってくる。
リーリア、挿れてもいいの？僕の‥‥‥あぁ‥‥‥ ズボンの中の肉塊も、汁だくで大きく盛り上がっている。丁寧に切り分けた肉を、再びリーリアに口へ運んだ。口の端に溢れたソースが垂れている。ペロリとそれを舐めて、リーリアの唇まで舐める。それは僕の、至福の時間。「‥‥‥‥シャル様、リーリア様にもナイフとフォークを使わせて下ください」「はい、あーん」「‥‥‥‥シャル様」「やだ」「シャル様」バーバラの冷たい声にびっくりしたのか、リーリアがバーバラと僕を見ている。「リーリアが怯える」冷ややかな視線をバーバラに送ると、バーバラも気まずそうに沈黙した。僕のこの時間を、誰にも邪魔させない。鋭い眼光で、無言の圧を控える侍女達にもかけておく。これで当分は何も言ってこないだろう。「ほら、リーリア、あーん」野菜をフォークに突き刺すと、リーリアの口の中へ入れた。 ― 「シャル、苦情が届いているぞ」執務室でのんびりと紅茶を啜っているシャルに、口悪宰相ヴァントが極厚眼鏡を押し上げて渋い顔をした。「リーリア様の教育が進まないって、苦情がきているんだけど。心当たりある？」「さあ？まったく」「リーリア様の食事マナーが進まないと、言われたんだけど？」「侍女達が、怯えてしまっていると」「何か、心当たりない？」立て続けに問い質す。「ないねぇ」しれっと呟く。ダンっと、シャルの机に書類の束を置いた。「そんなわけねぇだろ、侍女まで怯えて、流石にやりすぎだ。少しは自重しろ」「やだね。リーリアとの貴重な時間を邪魔されたくない」キッとヴァントを見上げるシャル。誰よりも歳上なのに、青年になりかけの少年の面差しで見上げてくるから、こっちが悪者のような気がしてくる。「そんなことして最低限のマナーも知らないと、リーリア様が恥をかくだけだぞ？」いいのか？とシャルの痛いところを突いた。「しかし、リーリアが可愛くて、止められないんだ」震える両の手を開いて、麻薬患者のように笑っている。「‥‥‥‥なら、お前がちゃんと教えてやれ。もう、知らん」深く溜息をついて、席に座る。シャルを見ると、何事もなかったかのように優雅にお茶を飲んでいた。コイツは‥‥‥‥！「ああ、そうだ、もし中庭で火喰い鳥を見たら教えてくれ」「火喰い鳥？お前がこの前喰ったやつか？」「そうだ。二度と喰わない。だから知らせるように」シャルの黒い髪の毛が、窓からの光で天使の輪を作っていた。侍女達は、そんなシャルを天使と例える時がある。天使というか、マジな悪魔なんだけどな〜‥‥‥ シャルの中を渦巻いている黒いものを知っているのは、ヴァント以外ないだろう。コイツの本性を、いつかバラしてやる‥‥‥‥
と思うものの、バレても困らなそうな気がして考えるのを止めた。今日も、火喰い鳥は来なかった。食べるんじゃなかったな‥‥‥‥ 多少の後悔が、心の中で小さく転がる。シャルの心の中。大半はリーリア。小指の先程もない大きさでその他の事。城の屋根の上から、遥か彼方を見通す。黒い髪の毛がサラサラと流れて、風に舞う。竜の強さを象徴する、黒曜石のような黒い角が髪の毛の間から見え隠れしている。真面目な顔をしていても、思考はいつもリーリアへと流れていく。大人になったリーリアを想像する。「‥‥‥‥‥そうだな、あいつに描かせるか」するりと音もなくそのまま真っすぐ城へ降りた。丁度、侍女と兵士らが立ち話をしている場所に降り立つ。突然のシャルの登場に兵士は慌てて膝をつき、侍女達も頭を下げた。「アボット・ルブランを呼べ」「は、はい」一言だけ告げて歩いていく後ろ姿に、侍女達の見合わせた視線が熱い。兵士は初めて見たシャルに、威圧感を感じて震えた。「あれが、シャル様？」「あら、貴方初めて？」「ああ、先月ここへ配属されたばかりだから」「そうなの？じゃあ気をつけてね、囲いの姫様の所へは絶対行ってはダメよ？」「囲い？」「竜妃様のことよ」初々しい兵士を囲んで、侍女達がくすくすと笑った。「限られた者しか、上へは行けないのよ」「私達でも、行けないわ」「話にも出ないの。不思議よね」兵士は、先日配布された竜妃の肖像画を思い出した。「あんな、美しい方がこの城にいるんだな‥‥‥」兵士の小さな呟きに、侍女は眉を顰めて言った。「ダメよ。竜妃様は、ダメよ？」「シャル様の許可なく、竜妃様を見ることは許されないのよ」「なんて愛情深いのかしら！」「羨ましいわ」「あら、モアったら、ジャンがいるじゃない？」「シャル様は、特別だわ‥‥‥」盛り上がる侍女達を置いて、兵士はシャルの伝言を伝えるべく、さっさとその場を離れた。「‥‥‥‥‥」城のはるか上を見上げる。何処から降りてきたのだろうか？シャルが現れた時の得も言われぬ畏怖の念が、まだ身体を硬く強張らせている。胸に隠した竜妃の肖像画の紙を手の平で撫でると、やっと落ち着いてくる。この方は、やっぱり俺の番ではないのだろうか？それを確かめに、この城の兵士となった。だが、あのシャルには敵わない。一瞬で心臓を鷲掴みにされた気がした。身体が震える。死んだと思った。竜妃に会うことはかなり危険を伴うことだろう。だが、何か方法はないのだろうか？とぼとぼと廊下を歩いていった。廊下の角を曲がろうとして、ふと城の掲示板が目に入った。『城で火喰い鳥を見た者は、申し出よ』
火喰い鳥？あの伝説の？親父から聞いた火喰い鳥の特徴を思い出す。胸にある竜妃の肖像を、無意識に押さえた。王都の中央地区に、貴族の男子のみが通うサロンがある。そのサロンのバーカウンターに男が独り座っていた。静かに傾けるグラスの中にはトロリと濃密な琥珀色の酒。フォードルームという高級酒だ。男の目はその酒を見詰めたまま動かない。時々僅かに口にする以外、ただひたすら揺れる琥珀を見詰めている。彼を普段から知る周りの男達は、そのいつもと違う様子に声をかけることを躊躇っていた。本当ならいつも通り、すぐに肩を抱いてキスを交わし一夜の快楽を貪り合いたいのに、それを言い出せる雰囲気ではなかった。その空気の中を突き進んできた男がいた。そして躊躇うことなくその肩に手を置いた。男の名前はイルダー=フレンコット。侯爵家の3男坊だ。「よぉ、久し振りだな。新婚のお前が何だってこんな所に居るんだ、ランス。やっぱりお前に女は無理だったか？それならこの後どうだ？久々にヤリ合わねえか？」ランスと呼ばれた男は動かない。グラスの中で揺れるその液体を愛おしむように、グラスを親指で擦っている。反応のない情人の態度にイルダーは眉をひそめた。そして苛立ちを隠しもせずに肩を引いた。「おい、ランス。こっち見ろよ」「！あぁ、イルダーか。久し振りだな、元気にしてたか？」感情の籠らないうわべだけの挨拶に、イルダーの眉間のシワがさらに深くなる。「……おい、2階に行こうぜ。意味、わかるよな？」「……あぁ、わかった」周りの男達の妬みと羨望の眼差しの中を2人は2階に上がっていく。階段を上がった先には幾つかの個室があった。その中の一番奥の個室に２人は入った。イルダーは後ろ手に鍵をかけると、すぐさまランスを抱き寄せてキスを貪る。社交界一の美貌を誇る男の顔を薄目で確認しながら、イルダーは相手が返して来るのを待っていた。だがランスからは何の反応も返ってこない。イルダーの手がシャツのボタンを外し地肌に触れた。冷たい手の感触にランスの体が一瞬震えた。もうすでに硬くなっていた乳首に触れると、柔い力で捏ねた。やはりなんの反応もないランスから唇を離す。「気分が乗らねぇのか？ならなんで抵抗しない」「……別にヤりたくないわけじゃないさ。初夜から2週間もヤッてないからな」「はん？確かお前は嫁さんの夫目当てだったろう？もしかしてあれか、同性は全く受け付けないタイプだったか？その1番目は」「あ？ああ、1番目ね……。彼なら……セディ=フローツなら初夜の日に出ていったよ。どうやら俺の存在が許せなかったらしい」「は？なんじゃそら。新しい夫の存在に耐えられなかったって、そんなこと今更だろう！馬鹿だろう、そいつ」呆れたように言う男にランスは苦く笑う。あれほど欲しいと思った男はもう手の届かない所へ行ってしまった。今ではその事に安堵さえしている。あれが人を恋うる想いだと思っていたのだが、今なら違うとわかる。（人を愛する……それは……）脳裏に浮かぶのは初めて抱いた女の姿。琥珀色の瞳、長い黒髪、二の腕に食い込む白い指先ーーー。あっと言う間に下半身に集中する熱を散らすように男は頭を強く振ると、いきなりイルダーのズボンのベルトを外しにかかった。その性急な態度に、男は戸惑った。「お、おい、どうした、いきなり」「イルダー。頼む、俺をめちゃくちゃにしてくれ」金糸の髪に水色の瞳、その麗しいかんばせが誘うように熱を放つ。強請るその言葉と仕草に、イルダーは生唾を飲むと情人の唇を再び貪った。そして慣れた手付きで服を脱がし、自分もまた脱いでいく。男の放つ欲情に翻弄されながらも、ランスの心は満たされることのない飢餓感に苦しんでいた。 2週間前のあの日、ランス=ボルトールは上位魔術師であるリュリュ=シエンと入籍した。それは国王命令であったが、相手を選んだのはランス本人であった。それはほんの軽い気持ちだった。陛下から送られてきた見合い資料に目を通した時、たまたま彼女の名前があったのだ。忘れかけていた想いにすぐさま火がついた。リュリュの1番目の夫セディはランスの好みそのものだったのだ。初夜の晩、彼と2人きりで過ごす為に彼女を追い込んだがうまくはいかなかった。当の本人に逃げられたのである。あの晩、セディの家に行くと彼はおらず妻と2人で過ごすことになったランスは、大いに焦った。まさか目論見が外れるどころか、妻を抱かねばならなくなったのである。「貴方は女を抱いたことないと聞いたけれど、本当かしら？」ランスは女嫌いで有名であった。父親に育てられ騎士になるべく教育を受け続けた彼は、男社会の中でそのまま大きくなっていった。幼少期から優れた美貌を誇っていた為に、その方面は早熟で男と繋がる悦びを早くから教え込まれていた。そんな彼が接触した女は母親くらいだが、それでも物心ついた時から母は敵だった。たまに父とランスの住む家に訪れて来ては父子の仲を裂いた。母が訪れる日は自室に閉じ込められたのだ。母はいつもランスを見ると寂しそうに微笑んでいた。時折その白い指先で頬を撫でられるくらいで、抱き締めようとすると父が母を連れていってしまう。ランスにとって母とは触れてはならない存在だった。「誰に聞いたかは知らないが……まあその通りだよ。俺は女が嫌いだからね」そう肩を竦めて見せても目の前の妻は物憂げに首を傾げるだけだ。「そう、貴方も乗り気ではなないのね。ならばどうするの？このまま白い結婚を通してもいいわよ。私は貴方に干渉しないし、貴方も私には干渉しないでほしいの」「それでは王命に背く事になるな。『子を設けよ』これが陛下の命令だ」漆黒のローブを纏った妻は美しかった。社交界で見るようなきらびやかな衣装でもなければ、化粧のひとつもしていないが、それが逆にランスの興味と好感度をあげた。
「そんなの馬鹿馬鹿しい。子供は国の道具ではないわ」「確かにその通りだ。だけど俺は騎士だからね、王命であれば従うのみだ」子作りをしろ、と言うのならするだけだ。それが善か悪か、出来るか出来ないかではなく、実行するのが命令だ。今夜はセディと過ごすつもりでいたが、近いうちにきちんと妻とも関係を持つつもりでいたのだ。「そう、わかったわ。それならやることをやってしまいましょう。客室へ案内するわ」色気も何もない誘いの言葉だが、それていいと思った。俺たちの関係は愛情ではない、義務だからと。うまくいくかはわからないが、やるだけやってみるか。そんな軽い気持ちでランスは考えていた。客室へ入ると、一旦身を清めにリュリュは風呂場へと向かった。彼女が終わると次にランスが風呂場へ向かう。ランスが部屋に戻ると、新妻はぼんやりとした表情で窓の外を見ていた。もう外は真っ暗なのに、そこから目を離さない。戻ってきた男に気付くと妻は躊躇いもなく服を脱ぎ出した。息を飲んでその姿を見守る。普段はローブに被われているその白い肢体に目が奪われる。（細いな……）筋肉のない腕も足も細い腰も、なぜ折れないのかがわからない。しかも乳房は大きく重そうだ。そして全体的に丸い。いや、太っているわけでは全くなく、体の線が緩やかに丸いのだ。長い黒髪の毛先が淡い頂きに触れる様を食い入るように見ていると、声がかかった。「貴方は脱がないのかしら？」問われて慌てて脱いでいく。妻はその間にベッドに上がると体に布団をかけて夫を待っていた。男の喉が鳴った。服を脱ぎ捨ててベッドに上がると、新妻を見下ろした。琥珀色の瞳がまっすぐに見返してくる。そして白い腕を伸ばし男の頬に触れた。（！！！？）頬に触れられた瞬間、何かが背筋を走った。電流のようなそれは男の胸の奥を強く刺激した。おもわず眉を寄せてその衝撃に耐える。「私あまり詳しくはないのだけれど、男同士でその、致す時って……どんな感じなのかしら？男女のそれと一緒なの？」困ったように聞かれて男も困ってしまう。ランスは女性経験がない。話に聞いた知識くらいしか持ち合わせてないので、男同士のそれとの違いを聞かれても答えられないのだ。「俺にもわからない。が、女の体の仕組みは何となくわかるよ。性感帯は男も女も変わらないからね」「そうなの？それじゃ、最初は任せてもいい？」男は頷くと、先程から気になって仕方がない胸の膨らみに手を伸ばした。そっと優しく触り、指先に感触が伝わってくるとゆっくり力を入れていく。そしてパッと離す。（……なんだ、これは）無心で胸を揉み込んでいく。ギュッと掴むと指の間から逃げようとするのに、離すと元に戻る。ふるふる揺らすと同じように揺れる。思わず遊んでいると、リュリュの手がランスの二の腕に触れた。その瞬間ーーー。指先の触れた感触に、懐かしい光景が脳裏に蘇った。懐かしい、懐かしい母の姿。初夏の日に白いドレスを着た母が、幼いランスに手を振っていた。彼が走り寄ると母は嬉しそうにしゃがみこみ、優しい笑顔で彼の頬を撫でた。ーーー可愛い、可愛い私の坊や。お父様には内緒ね？あの方はやきもちが激しいから。困ったように笑うと母はランスをギュッ抱き締めた。鼻腔一杯に広がる母親の甘い香りと柔らかい乳房の感覚。そして頭を撫でる細い指の感触。幼いランスはその多幸感に酔いしれた。突然蘇った記憶に、男は我を忘れた。愛されそして愛していた記憶が、男の中にあったが抑圧されていたそれを解き放った。「どうかしたの？なんだかとても苦しそうよ」リュリュが驚きながら聞いてきた。ランスは涙を流さないようにするのが精一杯で、口をつぐんでしまう。妻の目から見てもそれは一目瞭然だった。初めての行為にやはり無理なのかとも思ったが、男が上から退く気配はなく、むしろ泣きそうな顔で彼女の胸に顔を埋めてきた。なんとなく、リュリュは男の頭を抱き締める。「……俺は、母が好きだった。それを思い出したよ」男が漏らしたその言葉に、リュリュはただ「そう」とだけ答えた。しばらくすると落ち着いたのか、ランスは頭をあげようとした。少し頭をあげた所でふと動きが止まる。そして誘われるように、すぐ目の前にあった妻の乳首を口に含んだ。そして無心に吸い付く。「……！あ、あん、はぁっ」舌で擦りあげながら吸い付くその動きにたまらず腰が揺れる。舌先で頂きをいたぶりながら、ランスは女の匂いに酔いしれていた。手触りも匂いも音も仕草も、全て返ってくるものが男とは違う。この乳房もそうだ、まるで男が吸いやすいように頂きが一番高い位置にあり、乳輪も男より大きく触れたくなるほど柔らかい。そのくせ愛撫すると硬く応える。細いだけでなく柔らかい、柔らかいだけでなく弾力がある。そのくせにまるで吸い付くように手に馴染む。（これが『女』か）恍惚とした頭で思う。今まで感じたことのない強い衝動に、男はあっと言う間にのまれてしまった。妻の足を開かせると、そっとそこを覗き込んだ。見慣れたものとは違うその構造に思わず見入ってしまう。見られていることに感じたのか、リュリュは小さく身を震わせた。そして口を開いた。「どこに入れるか、わかる？」「あ、ああ。……ここ、だろう？凄いな、まるで生きているみたいだ……」ランスの手が膣口に触れた。ぬるりとした液を指先に付けると匂いをかいだ。
「ちょ！なにしてるの？！」それを見ていたリュリュが慌てる。止めようとする妻の手をひらひらと避けながら、ペロリと舐めた。「……味はないんだな」「信じられない！！もういいからきて！」顔を赤くしたリュリュの怒った顔は可愛かった。その唇を見ながらランスはキスをしていなかったことを思い出す。妻の体に再び覆い被さりながら、その唇を奪う。キスをしながら肉棒を収めるべく膣口に宛がった。「……ここで、大丈夫か？」少しだけ唇を離して尋ねると、妻は頷いた。それを合図にゆっくりと腰を進めていく。（あ、ああ……いい……なんだよ、これ。これが女、なんだな。やばい、まじで死ぬ、気持ち良くて逝くな、これ）うわ言のように妻の名を呼びながら、腰を振り続けた。1度目はあっという間だった。ただ夢中で腰を振ってたら終わってしまった。嫌がる妻を押し倒すようにして2度目3度目をねだる。そうしてランスは女の、妻の体に溺れていった。それが実を結ぶことのない初恋の始まりだった。砦に戻るとリュリュはフォルンと共に執務室に籠った。何やら王都でしてもらう実験について、いろいろと打ち合わせをするらしい。執務室に籠る限り、俺は必要ない。昼食まで打ち合わせをすると言うので、その間に奴と話をつけに行くことにした。取り次ぎの兵士に入室の許可をとってもらい、大隊長の執務室に入った。「呼んでもいないのに、また来たか。そんなに俺が恋しいか？うん？」「ふざけるなよ。俺との約束を忘れたのか？ボケるにはまだ早いだろうが。なんで、リュリュに手を出した！」感情的になったら敗けだ、そうわかっていても抑えられるもんじゃない。特にクラの野郎は俺の劣等感をくすぐるのだ。その大柄な体格も隆々とした筋肉もその強さも、俺が兵士として憧れる物を体現しているのだ。小さい頃から線の細さと顔立ちがいいのを理由に『女役』に見られてきた。その劣等感を思い出させるんだ、こいつは。「それはあれだ、場の流れと言うやつだな。俺は話し相手をしようと思っただけだ。どっかの誰かさんが嫁をほっぽって他所の女の所に行って寂しいと言うから、一緒に飲んでただけだぞ？しかも独りで体を持て余してる、なんて聞いた日には普通に誘われてると思うだろうが。俺が責められるいわれはないと思うがな」「その他所の女をけしかけた奴が偉そうにぬかすな！どっちが誘ったかなんて関係ないんだよ！リュリュを抱く必要はなかったろうがッ。あんたなら途中で止めることもできただろう？！」「あー、それはなぁ……。まあ、俺は頑張ったんだぞ？でもあんな風におねだりされたらなぁ」思い出してニヤニヤするんじゃねぇよ！！俺はカッとなって奴に掴みかかった。目の血管が破裂するんじゃないか、と思うほど睨み上げてやるが、奴に堪えた様子はなく、むしろ面白そうに見下ろしてきた。「おい、セディよ。俺は別に間違ったことはしてないし、リュリュ殿もただ一晩の慰めが欲しかっただけだ。それともなにか？お前がメリッサを抱いている時に、彼女が独りで苦しめばいいとでも思ってたか？それとも相手には俺じゃない他の若い兵士がよかったかよ」ぐっ、と息を飲んだ。今砦にいる兵士は若いのが多い。それがリュリュを抱くとか本気で無理だ。俺よりも体力があり精も強い、くたびれかけた40代とは比べ物にならないだろう。リュリュがメリッサに対して引け目を感じるのと同じで、俺も若い兵士が彼女を抱くと考えるだけで、気がおかしくなりそうだ。大人しくなった俺に、さらにクラの野郎は追い討ちをかけてきた。「結局はお前の選択の結果なんだよ、今の状況は。わかるか？俺は確かにお前にメリッサの事を頼んだが、お前はそれを断る事も出来たんだ。断っていればリュリュ殿は傷付かずに済んだし、お前も俺の代わりに思う存分愛する女を堪能できたはずだ。俺は父親としてお前の選択を感謝してるが、夫としたら最悪だろう。それは自分でもわかってるんだろうが」「ああ、わかっているさ。けどな、俺だってここへ来てからの10年間、メリッサを可愛がってきたんだ。命懸けで魔物から守ったこともある。本気で幸せになって欲しいと願ってるんだよ。だから俺は……」俺は奴から手を放すと、ぐっと握り拳を作ったまま溜め息を吐いた。結局はたらればの話だ。全てを丸く納めようと思うなら我が身を削らねば丸くはならないんだろう。我が身を削るのが嫌なら自分の欲望にだけ正直にあればよかったんだ。メリッサを捨ててリュリュとの愛だけを取ればここまで苦しまずに済んだはずだ。「メリッサの事は心から感謝してるさ。あいつの逃げ道を防いでくれたからな。適当にいい男を見繕って近いうちに入籍させる。それで諦めてくれりゃいいけどなぁ。我が娘ながらなんとも頑固で困ったもんだ」「……そういえばメリッサは？先に帰ったのか？」「ああ、帰らせた。……思ったよりも元気そうでな……それが妙に気持ちが悪くて、また何か企んでるんじゃないかと心配になる」「おい、止めてくれよ、これ以上引っ掻き回すなよ？！頼むから娘の尻拭いは自分でやってくれ。……それからリュリュの護衛の件だが、引き続き俺がやる。ここでの調査は一段落したらしいから、あまり外に出ることもないだろうしな」「おぉい、命令違反だぞ」「ふん、ここは『夫の権限』を使わせてもらう。一ヶ月後にここを出るから後は頼む」「ここにきて『夫の権限』を使うか。わかった、それならなにも言わん。いっそリュリュ殿の調査中は正式な護衛として扱ってやろう。それなら給料も出るだろう。お前には迷惑かけたからな、それくらいの融通は通してやる」「まあ、それくらいはして当然だな。それよりもメリッサの相手は砦内から選ぶのか？」「わからん。こればかりは相手の意思もあるからな」深い溜め息を吐くクラはどこか疲れきって見えた。俺はふとヴィンゴの事を思い出した。あいつは女の濃密な気配を忘れられるだろうか。リュリュは自覚がないから質が悪い。男は女が思う以上に、女の匂いに敏感なのだ。「ヴィンゴの奴はどうだ？あいつならいい旦那になると思うが」けして将来の禍根を取り除きたかっただけではない。本当にいい男だから勧めただけだ。メリッサほど気が強いと包容力のある男がいいし、1番目の夫の立場に奴なら耐えられるだりう。「ふむ、ヴィンゴか。確かにあいつはいい奴だが。……まあ、これは家族の事だ、これ以上は迷惑はかけんから安心しろ」澄ました俺の顔に何か思うことはあったようだが、クラは突っ込んでは来なかった。とりあえず俺からの話しは終わったので部屋を出ようとした時、急に奴が思い出したように口を開いた。「昨夜リュリュ殿と呑んだ時に話をしたんだが。セディ、お前はこの世界の男たちのほとんどが、望んでも手に入れられない物を持っているんだ。それを忘れるなよ」俺は顔をしかめた。どんな話をしてたんだ、と一瞬気になったが、それ以上に奴の表情が気になった。真っ直ぐに俺を見てくるその目は穏やかだが、その色は暗い。まるで凍りついた湖の底でもがく人影を見ているようだ。「……あんたはそれを手にいれたのか？」真っ直ぐに見返して尋ねた。驚いたようにクラは目を見張ったが、ふとその表情を曇らせた。「俺はその幸運な一人にはなれなかった男だ」奴のその答えを聞くと、俺は何も言わずに執務室を後にした。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「単刀直入に言います。セディと別れてください」独りで仕事をしていると、いきなりメリッサが訪ねてきてそう言われた。真っ直ぐな娘なんだと思う。真っ直ぐで汚れがない、自分が正しいと信じられる強い瞳。まだ挫折を知らない空洞の幹のようなもので、何かあればすぐにポキンッと折れてしまうだろう。きっと今も、こうすることが正しいのだと信じているに違いない。ただ一晩の契りで愛されていると勘違いしたんだろうか。男など、愛が無くても女を抱けるというのに。「どうして私に言うのかしら。それも今さら。それを口にするならきちんと昨日の昼間にするべきだったわね。そうであれば、まだ貴女に軍配が上がったかもしれないのに」他人の旦那を寝取ろうとしたくせに。知っていて誘惑したのだから質が悪いわ。「それは……！申し訳ないと思ってるわ、ごめんなさい。でも私にはそれしか無かったから……！」「それで振られたでしょう？」「！！」「これ以上何を足掻くと言うのかしら？そもそもセディは私と別れたいって貴女に言った？」疑いたくはないけれど、男なんて生き物は欲望が絡めばいくらでも嘘をつく。そういう時は女なんかよりもよほど嘘をつくのが上手いし、また女も流されるのだ。……流されてばかりの私が言うのもなんだけど。セディは閨事の最中に囁いたんだろうか。本当は妻とは別れたいんだよ、とかなんとか。それとも君の方がキレイだよ、とか？それだけでもこの娘は勘違いするでしょうね。 ……ああ！嫌だわ、嫌だ。この醜い感情は私の心を闇に染めていく。苦しい。「……貴女とは別れないって言われました。それでも私は諦めたくない！諦められないんです！！お願いします、リュリュさん。セディと別れてください。そしてここから出ていって！貴方が居なかった時に、この関係を戻してくださいーーー！」メリッサの悲鳴のような懇願を聞いて私の心は抉られながらも静かに凪いでいた。……10年前、4番目の夫と初夜を過ごした次の日の昼に、セディが魔の森へ旅立ったことを知った。その時、私には２つの選択肢があった。ひとつはこのまま何事もなかったかのように王都で過ごすか、もうひとつは全てを捨ててセディを追うかーーー私は前者を選んだ。あの時、彼を追わなかった私にこの先の人生を共にする権利はあるのかしら？もう、溜め息しか出ない。「10年間、ずっと、ずっと憧れてて、命懸けで魔物から守ってもらった時に、恋してるって気付いたんです、初恋なんです」「初恋は実らないものよ？」「そんな事はわからないわ。貴女さえいなければ、私にもチャンスはあるんです。セディは……ベッドの中で可愛いって言ってくれました！それに優しくて何度も何度も気持ちよくさせてくれて、は、恥ずかしいくらい濡れて……」手の中に持ったペンが音をたてて折れた。それに気付いているだろうにメリッサは話すのを止めない。「最後まで私を気遣ってくれたわ！けして嫌われてるわけじゃないんだもの。貴女さえいなければ、きっと私を見てくれるわ！」ーーープチンーーー。頭の中で何かが切れたような音がした。その瞬間、執務室の中は嵐になった。激しい風が渦を巻き、全ての書類やペンやインクといった物を巻き上げた。魔力の渦が風となって漏れだしていた。「キャ……！な、何なのよ、これ！」私の周りをビュンビュン音をたてながら、何か重たいものが回ってる。時々触れる紙の端が幾つもの切り傷を私の頬に付けていく。突然のことに怯えるメリッサを冷めた目で見下ろした。甘い甘い、甘やかされて育った女。愛され対等に接してもらえ受け入れてもらえた女。私がどんなに望んでも手に入れられなかったものを、産まれ付き持っていた女。今もまだ、どんなに周りから助けてもらっているかわかっていない。いや、わかっていてそれを自然なことと受け入れているんだ、忌々しい女！私の中の嫉妬の感情が押さえられない。それと同時にどうしようもなく悲しくなる。やっと、手に入れたのに。最後に愛を手にしたと思ったのに。結局はこれも私の指の間をすり抜けて行ってしまうんだろうか。それが嫌だから何も持たないようにしていたのに……！怯えるメリッサは可哀想に腰を抜かしてへたりこんでいた。それを上から目線で眺めていると、突然部屋の扉が開いてフォルンが入ってきた。「先輩、これでーーーて、うわっ、なんだよこれ？！」驚くフォルンの顔を見て、少し冷静さが戻ってきた。右手を挙げると風ピタリと止み、風に舞っていた物が全て落ちた。落ちた物はきれいに私の回りで円を描いていた。「先輩、これって……」青い顔をしたフォルンに私は声をかけた。目はメリッサに向けたままだ。「フォルン。お願いがあるの。大隊長の執務室に行ってセディを連れてきて」「だけど先輩」「大丈夫、今は落ち着いてるわ。それよりももう、この不毛な会話を終わらせたくて仕方ないの。仕事の邪魔だわ。だからセディを連れていらっしゃい」「わ、わかりました！今すぐ連れてきまーーーあ、来た」フォルンを押し退けるようにセディが飛び込んできた。「なんだ、これは。！リュリュ、大丈夫か？！」部屋の中に飛び込んできたセディは、その惨状に息を飲んだ後、私の顔を見て駆け寄ってきた。そしてそっと、私の頬に心配そうに触れた。「怪我してるぞ。何があった？」ひっそりと眉をしかめて顔を覗き込んでくる。私の中では相変わらず負の感情が渦巻いていたけれど、それを表に出さないように表情も消していた。ちょっとした刺激でまた荒れ狂うとわかっていたから。「……ごめんなさい、セディ。私がリュリュさんを怒らせてしまったの」メリッサの顔色は悪い。私を見る目に明らかな恐怖と怯えの色がある。魔術師を知らない人ほど、その力に触れた時畏怖する気持ちが強くなる。「なぜお前がここにいるんだ、メリッサ。先に家に帰ったんじゃないのか？」戸惑うセディの声がメリッサに向けられた。そっと視線を足元に落とした。“セディ”と呼んだわ。それに対して彼は何も言わない。自分はあれだけ嫌がったのに、自分達は仲良く名前で呼び合うの。私の中のドロドロしたものが唸りをあげている。獰猛な破壊的衝動が私を突き動かそうとしている。駄目よ、駄目。今口を開けば言ってはいけないことを口にしてしまう。私は魔力を静めるための呼吸法を繰り返した。魔力の安定=精神の安定で、魔術師は魔力を高めるために瞑想を訓練に取り入れている。「私、どうしても諦めきれない……。だってリュリュさんが来るまで一番近くに居たじゃない。いつも一番に助けてくれて、いつも気にかけてくれたわ。あれは私の思い込みだったの？」「メリッサ……」
「10年間もセディをほったらかしにしてきたのに、なんで今さらしゃしゃり出てくるの？！私の方がセディを幸せに出来るわ！子供も産めるし若いし、私の方がセディもーーー！！」パンッーーーと高い音が響いた。気が付けば私はメリッサの頬を叩いていた。余り力は入れていないけど、当たり所がよかったのか良い音がした。誰もが呆然とするなか、私は一歩足を踏み出した。「お黙り、小娘。他人の旦那に手を出しておいて、私の方が幸せに出来るですって？若いし子供も産める？それがどうしたというの！？頭の悪い娘は嫌いよ、一回しか言わないからよく聞きなさい、これは私の男よ。私だけに愛を囁き、私にだけ命を捧げるの」私の啖呵にセディがニヤニヤしているのがわかる。顎を撫でながらとても嬉しそうだわ。そのまま私の背後に回ると、腰に手を回してきた。「セディは私のものよ。貴女は貴女だけの『夫』を見付けなさい。私はセディを愛してるしこの人も私しか見ていないのよ。いい、加減に、あ、理解なさい」喋っている間も、セディはそれはそれは嬉しそうにちょっかいをかけてきた。髪を撫でて首筋にキスをし、耳朶を軽く食んで、腰に回した手を動かしたり。最後まで啖呵を斬り続けたかったのに、セディのちょっかいのせいで最後が格好つかなかった。私が文句を込めて手を叩くと、セディは苦笑しながらメリッサに言った。「これでわかっただろう？俺はこの女に昔から惚れきってるし、こいつも俺を必要としてるんだよ。お前の入り込む隙間なんざ、少しもないんだよ」これだけ言ってもわからないなら、もうどうしようもない。そう思って溜め息を吐くといきなりセディに体を回転させられた。ビックリする私の隙をついて唇を寄せると、まるで情事の最中のような濃厚なキスをしてきた。人前だと言うのに遠慮も何もなく水音を響かせて。私は突然のことに対応するのが精一杯で、セディに翻弄され続けていた。気が付けば口の周りは２人の唾液でびちゃびちゃだし、セディは壮絶な色気を纏って私を抱き締めていた。そしてそのまま私の頭を抱き込むと静かに告げた。「何をしている？さっさと出ていけよ。恋人同士の邪魔をすんじゃねえよ。フォルン、お前もだ」は、そうだった、フォルンがいたんだわ。私は頭をあげようとしたけれど、セディの手がそれを阻止した。「早く行け！」彼の声に走って出ていく足音と、力無く出ていく足音とが続いた。そして扉の閉まる音が響くと、セディの手の力が弛んだ。すかさず顔をあげると強くセディを睨みつけた。驚くセディの頬を思い切り叩いた。先ほどメリッサを叩いたときよりも湿った重い音がした。「……ってぇ」殴られたのにニヤニヤしててさほど堪えていないよう。その笑顔を見ているとまたムカムカしてきたので、もう一発叩こうと左手を挙げたらその手を取られた。その手を口元まで下ろすとキスをする。「俺の奥さんは可愛いな。美人で嫉妬深くて色っぽくて優しくて天然で。しかもいい匂いがするし感じやすいし仕事も出来るしさらに強い。本当に最高だ」「止めてよ、馬鹿！全部貴方が悪いんでしょう？！ちゃんと遊びの後始末くらいつけなさいよ！しかもフォルンにまであんな姿さらして、恥ずかしいったらないわ。しばらくは私に触れないでッ」「そんなに怒らないでくれよ。リュリュに触れることができないなんて地獄だ。俺が悪かったから機嫌を直して」言いながらも私に幾つものキスを落としてくる。体を捩って逃げ出そうとするけれど、男の腕はがっちりと腰に回って離れる気配はない。私だって本気で嫌がってるわけじゃないから離れても困るけど。私が大人しくすると彼の手が離れた。「少し待ってて」離れた温もりを恋しく思いながら振り返ると目があった。セディの目が優しく微笑んだ。「傷薬をとって来るから。すぐに戻るからそんな顔をするなよ。食べたくなる」髪を撫でて彼は部屋を出ていった。残された私は散らかった部屋の片付けを始めた。幸いなことにインク壺の蓋は取れずにすんだみたい。蓋が取れて中身が溢れてたらと思うとゾッとするわ。散らばった書類を纏めながら思うのはメリッサのこと。彼女はあれで諦めたのかしら。あれだけハッキリ宣言したんだもの、わかってくれなきゃもうどうしようもない。ああ、疲れた。お腹も空いたわ。もしかしたらもうお昼御飯の時間は過ぎてるのかもしれない。「ーーーどうしたんだ、リュリュ？ぼんやりして。薬を持ってきたから塗るよ。そこに座って」考え事をしながら作業をしているとあっと言う間に時間は経つ。セディは私の手を引くと執務室の隣の部屋へと誘った。そこにはソファーベッドが置いてあり、私はセディに促されるままにそこに座った。……下心がある気がするのは気のせい？「そんなに目立つかしら、頬の傷って」「いや、細かいかすり傷ばかりだが、念のために薬を塗る。こっちを向いて」隣に腰かけて顎に手を添えると、ゆっくりと彼の方へ向けられた。……こんな風に至近距離で見詰め合うのは久し振りかもしれない。体を重ねる時とかキスをする時、間近に見詰め合うけどこれは違う。なんとも言えない恥ずかしさに視線が泳ぐ。「……よし、これでいい。頼むから俺の奥さんの可愛い顔に傷を作らないでくれよ？跡になったら大変だ」優しく優しく、頬を撫でられた。大人の色気を纏っているのに優しいって……。この人、こんなに糖分過多だったかしら？ぼんやりとそんな事を考えていると、軽く唇を食まれた。そして強く抱き締められる。私もそっと彼の背中に手を回した。「ねえ、セディ」「ん？」背中に回した手で脇腹をつねった。「……！ッ痛っつ……！」「どうしてメリッサは貴方を呼び捨てにしてたのかしら？貴方、自分が私に言った言葉覚えてる？それにベッドで可愛いって言ったらしいわね？しかも何度も何度もイかせてあげて、痛みもほとんどなかったそうよ？貴方、優しいのねぇ。私の時とは、大違い」「ま、待て、リュリュ！痛い、痛いから！」「羨ましいわ、私なんか初体験から1年以上苦痛しか感じなかったのに。貴方って本当にメリッサを可愛がっているのね。どうしてそんなに……私とは違うのかしら」最後の呟きは口の中で消えた。何だかんだ言ってもセディはメリッサを愛しているんだと思う。男女の愛ではなく、まるで兄妹愛に近いもので。彼は私を迷い無く選ぶけれど、結局ここまで来ても否定的なことはいわなかった。嘘でもいいから「しつこい女は嫌いだ」とか「お前に女としての魅力を感じない」とか言えばよかったのに。彼はけしてメリッサ自身を否定はしなかったんだわ。それどころか、まんべんなく抱いて可愛がった。そりゃ、彼女もまだ可能性がある、と思い込むわよ。私は強欲な女だわ。彼の持つ愛の全てが欲しいのよ。肉親でもない彼女に愛情を傾けるのが我慢出来ない。じっとつねられる痛みに耐えるセディから離れると立ち上がった。手首を掴まれて再び抱き込まれそうになるのに全力で抵抗する。こんな子供染みた嫉妬、余りに情けなくて誰にも悟られたくない。私のなけなしのプライドが早くここを出ろ、と命令する。
「どこに行くんだ？ここにいろよ」「お腹が空いたのよ、お昼御飯の時間じゃない？」「ん？ああ、ほんとだな。もうとっくに過ぎてりゃ。よし、俺が食堂から持ってきて」「大丈夫よ、食べに行ってくるわ。貴方はここで待ってて」「馬鹿言うなよ、俺も行く。ーーーなぁ、リュリュ。怒ってるのか？」「ーーー貴方には貴方の10年間があった。それは貴方と彼女の10年間なのよ……だから怒るのは筋違いよね。貴方は兵士の道を決めた時、何て言ったか覚えてる？」「そりゃもちろん。惚れた女くらい命懸けで守れるようになりたい、て言ったよな。我ながら青かったぜ」懐かしそうにでも少し苦々しいものを込めて、彼は笑う。その笑顔を見て私も笑う。彼が嫌いだと言った、諦めることを受け入れた笑顔で。「よかったわね、強くなって。大事なものを守れるようになったんですもの」「ん？あ、あぁ……。リュリュ、何を勘違いしてるんだ？俺がメリッサを守ったことがあるのは8年も前だぞ？それは兵士として当たり前の事だ、メリッサだからと言うわけじゃないんだ」慌てて弁明する彼に頷いて見せた。「わかってるわ、ただ私は……それが羨ましいだけよ」セディとメリッサは似た者同士だ。私から見れば太陽のように愛に満ちて輝いている。それは愛されて育った者の輝きだ。私は違う。夜空の星のようなもので、消えてしまわないように必死で我が身を光らせている。太陽の前では星なんか無いも同じだ。「リュリュ、すまない。確かに君の言う通りメリッサのことは可愛いと思っている。何だかんだと迷惑かけられたが、それでも嫌いにはなれないんだ。ただ！」たまらず部屋を出ようとした私の手首を彼は素早く掴んだ。「ただそれは君への想いと比べるものじゃないんだよ。比べられるはず、ないんだよ、リュリュ。頼むから、わかってくれよ」心底弱りきった彼の言葉は私の心を素通りしていく。だってわかりようがないんだもの。私の人生で子供以外にそんな存在はできなかった。セディ以外の夫達ですら、私にとっては子供の『父親』でしかなかった。自分の寂しい人間関係に心底嫌気がさす。持つ者と持たざる者と。結局はどうやっても相入れないものなのかもしれない。「セディ、放して。少し頭を冷やしてくるわ」「嫌だ。このまま放して君が帰ってこなかったら？君がこのまま俺を置いていくかもしれないと、不安なんだ」私はヒュゥ……と息を飲んだ。貴方が、それを言うの？乱暴に力任せに男の手を振り払った。「置いていったのは、私を捨てていったのは貴方じゃない！何もない、義務と義理しかない世界に一人私を残して、貴方は自分のために私のもとを去った！！私の苦労も絶望も知ろうとしないで、置き手紙だけ残して……！！それがどんなに辛いかわかる？！愛する人に捨てられた人間の絶望が貴方にはわかる？！貴方も辛かったかもしれないけれど、私だって辛かった！！みんな何かしらの痛みを我慢して絶望を足場にして生きているのに、貴方は……貴方が私を捨てて逃げ出したのよ……！！」みんなが私を嗤うの。夫が逃げ出した哀れな女だって。蔑みを込めた嘲笑で。そうされるたびに、私は思い知る。私はあの人に捨てられた人間なのだと。親にも捨てられ愛した男にも捨てられて、私の希望は子供だけになった。けれど結局はその子供にも捨てられた。私に生きている価値なんてあるのかしら？「リュリュ……！すまない。俺を許せとは言わない。10年前の俺は間違っていた。死んでも俺は君を手放してはいけなかったんだ。リュリュ、リュリュ、俺のリュリュ！自分勝手な俺を憎んでもいいから、頼む、側にいてくれ」か細い声で何度も私の名前を呼び、後ろからしがみついてくる愛しい人。私とは全く正反対のこの人のことを私は結局手離せない。「……好きよ、好きなの、セディ。貴方を愛してるの」「俺もだ。俺も君を愛している。今度こそ俺は間違えないから、もう一度チャンスをくれ」私は後ろを振り返ると、セディの首に腕を回ししがみついた。許すも何もないのに。私はずっとセディだけを愛していたのに。私にはもう、セディしかいないのに。「……また、貴方に捨てられたら生きていけないわ」「！ああ、わかってる、わかっているよ、リュリュ」今度捨てる時は、殺して行ってねーーー私の呟きに、彼は私を抱く手に力を込めた。まるで、自分の中に私を埋め込むように。または私に寄りかかるように。どれくらいそうしていたか。しばらくして私は呟いた。「……お腹空いたわ」私の呟きを聞いて顔を覗き込んできた。彼の目もうっすら赤い気がする。目が合うとほんの少しだけ彼の口角があがった。「一緒に食べに行こう」無言で頷くと私達は食堂へ向かった。「失礼します。三番隊隊長セディ=フローツ、お召しにより参上しました」「よし、入れ」許可の声を聞き、俺はドアを開けた。簡素な室内に居るのは、このグレイ北方砦の最高指揮官であるクラ大隊長殿だ。俺より3歳ほど年上らしいが、その眼差しは強く肉体は無駄な肉ひとつなく絞まっている。「すまんな、セディ。お前に特別に任務を与えたい」「特別任務、ですか」「ああ。そんなに嫌そうな顔をするな。なに、難しい仕事ではない、要人警護だ」俺は舌打ちしそうになるのを堪える。要人警護だと？こんな魔の森に来るような要人とは、おそらく王都辺りでのんびり暮らしてる貴族連中だろう。まるで根性試しのように魔の森に分け入っては、俺たち砦の人間をこきつかうのだ。そして我が物顔で魔の森に立ち向かったとありもしない武勇伝を語る。表情に全て出ていたのだろう。大隊長の苦笑がさらに深まった。「安心しろ、今回の要人は国からの正式依頼だ。なんでも魔術師が調査に来るらしい。その魔術師の警護をしてもらいたい」
「魔術師が調査、ですか……。ですが魔術師であれば我々より強いでしょう。警護の必要はないのでは？」「確かにな。ただ案内人の意味合いもある。それからここからが重要なのだが。魔術師殿はどうやら女性らしい」息を飲む。女がこの砦にやってくると？この掃き溜めのような獣の巣窟へ？「それは、無謀でしょう！すぐに止めるべきだ」俺の声に大隊長殿は気を悪くすることもなく、むしろ頷いて同意を示した。「全くもってその通りだな。だが本人の意志が堅いらしく、周りの反対を押しきってここまできたようだ」「馬鹿か、その女……」「我々としては魔術師の調査が入るのは大変ありがたい。が、その魔術師が火種になり得るのなら話は別だ。迷惑なことこの上ない。実際調査に出てもらいここで生活していれば、自分がどれほど愚かな事をしているかわかるはずだ。それまでの間の警護を頼みたい。セディ、受けてくれるか？」「仕方がない、受けましょう。その魔術師殿はどこにいるんです？」「ホレトの町にいる。そこでお前が迎えに来るのを待っているから、早速出発してくれ」「わかりました」「ああ、それから。メリッサが寂しがってたぞ。会いに行ってやれ。娼館に行くぐらいならあいつを抱いてやれや」俺は賢明にも一礼だけして部屋を出た。ホレトの町はグレイ砦から馬を跳ばして約１時間かかる。元は小さな村だったが近くに国の施設である砦が出来たため、ここ10年で大きな町に成長した。特に充実しているのが娯楽関係だ。酒場に賭場（主に競馬）や風俗関係だ。「あれ、セディ隊長じゃないですか！どうしたんです、何かありましたか」門番をしていたのは二番隊の兵士達だ。町の警備のため、週替わりで兵士を警備にあてている。その代わり、兵士が町の施設を使用する際は全て2割引される仕組みになっている。「警備、ご苦労。ここに女の魔術師が来ていると聞いたのだが、何処にいるかわかるか？」「ああ、あの人なら天使のあくび亭に泊まるって言ってましたよ」「そうか」返事をしながら馬からおり、入門表に必要事項を記入する。「あの、セディ隊長」頭上から兵士の戸惑う声が聞こえてくる。「なんだ」「……セディ隊長は元は王都の方だと伺いました。その、……帰りたくはならないですか？」必要事項を記入し、顔をあげた。声をかけてきたのは此処に来て1年になる新人だ。年は確か22歳だったか。此処に志願した理由は聞いてはいない。だが、此処に来る人間のほとんどが、言い方は悪いが自殺志願者だ。今まで聞いた中で一番まともな理由は、愛国心だった。……いや、クソみてぇな理由だな、改めて考えると。「どうした、帰りたくなったか」「いや、自分は……」「帰れる場所が在るなら帰ればいい。誰も止めはしないし、後ろ指も指さんぞ。ただ、羨ましがるだけだ」「帰る場所はありません。此処で死ぬ覚悟も出来てます、ただ……」それ以上の言葉は出てこなかった。顎を撫でるとざらざらと髭の感触がする。それを楽しみながら口を開いた。「此処に来た頃は何度も帰ろうと思ったな。実際、明け方まで馬をとばしたこともある。みんなそうだ、此処に慣れるまで辛いが、帰る場所がないのなら歯を食いしばるしかない」此処に居たくて居る人間など数えるくらいしかいない。俺はそう言って新人の肩を叩くと、馬を引いて歩き出した。天使のあくび亭は町の中心にある。歩くと少し時間がかかるため、本当は馬に乗るのだが、つらつらと考え事をしている間にけっこう歩いていたらしい。急に声をかけられた。「セディ隊長！」振り向けば一人の女性が此方に向かって走ってきた。長い藍色のスカートをばさばさと翻し、白い足が見えるのも気にしない。栗色の髪を結い上げ若草色の瞳は真っ直ぐに俺だけを見ている。美人ではないが、愛嬌のある優しい顔立ちをしている。「おう、メリッサ。一人で出てくると兄貴共に怒られるぞ」基本的に女性が一人で出歩く事はない。慢性的な女不足のこの世界では、女というだけであらゆる災難が降りかかる。それを防ぐため、用心棒役に父親か兄弟、旦那等が付き添いをするのが普通だ。「大丈夫よ、この町で私に手を出す馬鹿はいないわ」自信満々に胸を張るメリッサに、それもそうかと頷く。彼女はクラ大隊長の娘だ。その娘に手を出す事の意味を、この町に住む人間ならば理解できないはずがない。その手を出す事の出来ないメリッサに、クラ大隊長ご本人から早く手をつけろと言われる俺は苦笑するしかない。「……しっかし」「なに？」「相変わらずペッタンコだなぁ」「！！うううううるさーい！ペッタンコにだって需要はあるんだよ！」顔を真っ赤にしながら襟元に掴みかかってくるメリッサに笑いが漏れた。
「ぶっ！ペッタンコにも需要があるか。ははは、確かにそりゃそうだ」「わ、笑わないでよ！」「需要がある、て言う事は、とうとう男が出来たか？」「……出来るわけないでしょッ、もう……」拗ねるメリッサの頭を一撫でして、俺は馬に跨がった。「すまんな、人を待たせてるんだ。また後で寄るから」「人って誰？まさか、レイン？」「そんなわけあるかい。客だよ、客。じゃあな！」何やら叫ぶメリッサを置いて俺は馬を走らせた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ 懐かしい笑顔だった。記憶の中よりもシワの増えた顔で、それでも変わらない笑顔の、初恋の男性。楽しそうに、まだ若い女性とじゃれ合っている。恋人だろうか。優しくて強い彼によく似合う愛らしい女性は、一心に彼だけを見ているよう。ああ、セディ……。視界が滲むのは涙のせいだ。悲しい？苦しい？怒り？そのどれでもない感情で涙が溢れてくる。貴方のその笑顔が、幸せそうな笑い声がーーー。とても嬉しくて。貴方が幸せそうで心から安堵した。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 天使のあくび亭に魔術師殿は居なかった。代わりにその部下らしき男が居た。名前をフォルン=タッソーと名乗った。年はまだ30歳には届いていないだろう。彼も魔術師らしいが専門は研究者だという。「それでその上司はいつ戻られるのかな？」もうかれこれ1時間近く待っているがまだ帰ってこない。何処をほっつき歩いてるんだ、しかも女が一人で。「さ、探した方がいいでしょうか？」知るか！言ってやりたいがそうもいかない。仕方がない、探しに出ようかと腰を上げた時、ノックの音が響いた。「あ、帰って来たみたいです！」まるで飼い主の帰りを喜ぶ犬ころのように、出迎えに行くフォルン。俺はそれを若干冷めた目で見る。男と女が同じ宿の一室に泊まっているのだ、要はそういう関係なのだろう。「遅かったじゃないですか、先輩。グレイ北方砦の隊長さんが迎えに来てますよ。早く向かいましょう」女魔術師は小柄なようで、フォルンの体に隠れてしまってその姿を確認出来ない。「わかってるわ、フォルン。そこを退いて。挨拶が出来ないわ」心臓が、比喩ではなく、本当に大きく跳ねた。その声ーーー。少し低めの耳に心地よく響く声に、聞き覚えがあった。もう思い出すことも難しく感じていたのに、聞いた瞬間にわかってしまう。ゆっくりと世界が動く。その緩やかに波打つ黒髪が見えた時、その琥珀色の眼差しが俺を捕らえた時、堪らずにきつく目蓋を閉じた。一度大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出す。息を吐くと無駄な力が抜ける。そして目蓋を上げた。時が、巻き戻ったのかと錯覚するほど、昔と変わらない姿がそこにあった。固まる俺を気にすることもなく、彼女はふんわりと微笑んだ。その微笑みに何故か胸が締め付けられる。「お待たせして、申し訳ありません。お久しぶりですね、セディ隊長。お元気そうでなによりです」「え、先輩、知り合いなんですか？」「ええ、この方10年前まで王都に居たのよ。その時の……知り合いよ」関係を濁すようなその言い方に、彼女は知られたくないのだと理解する。それならこちらもそれに合わせた方がいいだろう。俺は立ち上がり、一礼した。「お久し振りでございます、リュリュ=シエン殿。相変わらずお美しいですね。やはり魔術師は年をとりにくいというのは本当なのでしょうか」「いきなり女性に年の話をしては嫌われますよ。まあ、確かに魔術師仲間はみな美男美女揃いですね。否定はしません」俺は今無性にイライラしていた。年の功で隠してはいるがいつぼろが出てもおかしくない。ぼろが出る前に話を詰める事にした。「ひとつ、うかがってもよろしいか？」「ええ、かまいません、どうぞ」「では、単刀直入にお聞きするが。なぜこんな所へ来た？ここは女が来る所じゃない。死にたいのか？！」感情に呼応して口調が乱れてきた。馬鹿な女が王都から来ると聞いたら、それが別れた妻だった。なんの嫌がらせだ、これ。「ええと、ごめんなさい。私の勘違いでなければ、何か怒ってらっしゃる？」「勘違いじゃない。君は此処がどういった所かわかっているはずだ。不慣れな女が一人で来る所じゃない」「ひ、一人じゃありません、僕が居ます！」

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